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系統用蓄電池とは?— 街にできた四角い箱がならぶ施設のなぞ
最終更新: 2026-09-18/公開情報をもとに作成しています
空き地だったところに、白くて四角い箱がずらっとならぶ施設ができた——そんな風景を見かけたことはないかな。あれは「系統用蓄電池」。発電所から送電線・配電線までをつないだ電気のネットワーク(電力系統)そのものにつながっていて、電気があまったときにためて、たりないときに出す、いわば「電気の倉庫」なんだ。
近づいてみると、コンテナのような箱と、ぐるりと囲むさく、そして「立入禁止」の表示。機械の音がすることもある。看板を見ても、なんの施設なのか分からないまま通りすぎている人も多いんじゃないかな。
このページでは、あの箱がいったい何をしているのか、家の蓄電池と何がちがうのか、中には何が入っていて、音や安全についてどんなきまりがあるのか——公開されている国や自治体の資料をたよりに、ひとつずつたんけんしていくよ。
街に増えてきた「四角い箱がならぶ施設」
まずは、外から見えるところを観察してみよう。目につくのは、コンテナのような四角い箱がいくつもならんでいる姿だね。屋根のある建物ではなく、箱そのものが屋外に置かれていることもあるよ。総務省消防庁が関係規定を整理した資料では、屋外に設ける蓄電池設備は、雨水などの浸入を防ぐ措置をした「キュービクル式」のものとすることになっていて、国の省令ではこれを「鋼板で造られた外箱に収納されている方式」と決めている、と紹介されているんだ。決まりの中に出てくる「鋼板で造られた外箱」という言い方は、外から見えるあの姿とかさなるね。
箱のまわりも見どころだよ。敷地はさくや塀で囲われていて、立入禁止の表示が出ている。箱のそばに、エアコンの室外機に似た機械や、ファンのならんだ面がついていることもある。福島市が定めたガイドラインでは、事業者に対して、簡単に立ち入れない高さのさく・塀を設けること、出入口に施錠すること、見えやすい位置に立入禁止の表示をかかげることを求めているよ。
工事中の場所に出会ったら、看板にも目を向けてみて。同じ福島市のガイドラインでは、工期や設備の規模(出力および容量)などを書いた標識を、事業地の外から見えやすい場所に掲示することを事業者に求めているんだ。看板に数字があったら、その施設の大きさを知る手がかりになるね。
系統用蓄電池とは — 電力系統につながる「電気の倉庫」
資源エネルギー庁の審議会資料では、系統用蓄電池のことを「系統に直接接続され、特定の電源の出力変動ではなく、電力システム全体の需給変動への対応に活用されるもの」と説明しているよ。言いかえると、特定の発電所のおまけではなく、電気のネットワーク全体のためにはたらく蓄電池、ということだね。同じ資源エネルギー庁の解説ページでは、電力系統とは「発電所から送配電まで、電力に関するシステム全体のこと」で、そこにつないだ大きな蓄電池は「電力が余った時には蓄電し、電力が不足した時には放電する」とされているんだ。
この施設、法律の世界ではべつの名前で呼ばれているよ。「蓄電所」だ。電気設備に関する技術基準を定める省令では、蓄電所を、構外から伝送されてきた電力を構内の電力貯蔵装置などにためて、同一の使用電圧・周波数のままさらに構外へ伝送する所、と定めている。ただし、同じ構内で発電設備・変電設備・需要設備と電気的につながっているものはのぞかれる。「系統のための蓄電池」だけが蓄電所、というわけだね。
「同一の電圧・周波数のまま」というのは、外の系統とのやりとりの話。経済産業省の手引きでも、従来の変電所とのちがいとして、構外との関係では使用電圧や周波数を変成せずに伝送する点に注意が必要、とされている。施設の中では直流と交流の変換もしているんだ。
法律の整理が進んだのは、最近のこと。資源エネルギー庁の資料では、2022年に電気事業法を改正し、1万kW以上の系統用蓄電池から放電する事業を「発電事業」に位置付けた、と説明されている。自分で電気をつくるわけではないのに「発電事業」というのが、ちょっとおもしろいね。
なぜ今、必要になったの? — 電気はつくったそばから使うものだから
電気には、やっかいな性質があるんだ。資源エネルギー庁の解説では、電気を使う量と発電する量(需要と供給)のバランスをとることが重要で、「このバランスが崩れてしまうと周波数に乱れが生じて、最悪の場合は大規模停電が発生します」と説明されている。周波数は、電気のリズムのようなもの。日本では地域によって2種類あるんだ。しかも、使う量は1日の中でも変わるうえ、太陽光や風力は天候によって発電量が頻繁に変動するから、バランスを保つのは非常に難しくなる、とも書かれているよ。
ぼくらスズメは、見つけたごはんをその場で食べてしまう。ためておくのが得意なのは、ほおぶくろを持つリスのほうだね。電気もスズメ型で、つくったそばから使うのが基本なんだ。だからこそ、あいだに「ためておく場所」があると、やりくりがぐっと楽になる。
そのありがたみが増している理由のひとつが、再生可能エネルギーのひろがりだよ。資源エネルギー庁が2026年8月に公表した資料では、再エネの導入拡大により出力制御エリアは全国に拡大している、と説明されている。出力制御は、発電した量が使う量を上回りそうなときなどに、決められた順番で発電をおさえるしくみのこと。送配電網協議会の資料では、蓄電池が「余剰時に充電、残余需要ピーク時間帯に放電」——電気があまる時間にためて、足りなくなる時間に出す——という動きをすることで、再エネの出力制御量が減少する効果があると考えられる、とされているんだ。
じつは「電気をためる」役目には、ずっと前からはたらいている先輩がいる。揚水発電だ。資源エネルギー庁の解説では、もともとは夜間の余った電気でポンプを動かして水をくみ上げ、昼間に水を落として発電するしくみだった、と説明されている。夜の電気を昼間に“移動”させていたんだね。いまは、再エネで電気が余ったときにくみ上げることで、再エネの電気をたくわえて必要な時に供給する「蓄電池」の役割をはたしているとも言える、とされているよ。2022年時点で、全国42地点、合計約2,700万kWの発電出力があるそうだ。
家の蓄電池と何がちがう? — つながる相手がちがう
「蓄電池」と聞いて、家の外壁ぎわの家庭用の蓄電池を思いうかべた人もいるかもね。資源エネルギー庁の基礎用語の解説では、蓄電池の役割のひとつとして、停電が発生した場合に自立的に電気をまかなうことができ、非常用電源として使える、と紹介されている。家に置かれた蓄電池は、まず「その家の電気」のためにはたらくんだ。
いっぽう系統用蓄電池は、電力系統に直接つながっていて、電力システム全体の需給の変動に対応するためにうごく。ちがいは大きさよりも先に「つながる相手」にあるんだね。経済産業省の手引きでも、発電設備や変電設備、需要設備に併設されている電力貯蔵装置は、規模にかかわらず蓄電所には含まれない、と整理されている。建物のための蓄電池と、ネットワークのための蓄電池は、法律の上でも分けられているよ。
もちろん、「届出がいる大きさ」のめやすもずいぶんちがう。主に家庭用の蓄電池設備を対象に検討した総務省消防庁の検討部会の資料では、消防機関への届出が必要になる容量を、リチウムイオン蓄電池で20kWh超とすべきである、と整理されている。いっぽう経済産業省の手引きによると、電気事業法では、出力1万kW以上または容量8万kWh以上の蓄電所に工事計画の届出や使い始める前の検査が求められる。どちらも「これより大きいと届け出がいる」という目安の数字だけれど、けたがまるでちがうね。
中はどうなっている? — 箱のなかみと、まわりの設備
さくの外からは箱しか見えないけれど、中には役割のちがう設備がならんでいるよ。経済産業省が蓄電所の容量と出力の考え方を説明した資料の図には、「電力貯蔵装置(蓄電池)」「PCS 逆変換装置」「送電設備(キュービクル)」という機器の名前が出てくるんだ。
PCS は「パワーコンディショナ」の略。経済産業省の資料では「逆変換装置」と書かれていて、直流と交流のあいだをつなぐはたらきをする機械だよ。同じ経済産業省の手引きでは、蓄電所は、系統に単独で接続されている電力貯蔵装置群(逆変換装置や保護機器を含む)である、と説明されている。
電池そのものの種類もいろいろ。資源エネルギー庁の解説では、大きな蓄電池として、ナトリウムと硫黄を使うNAS電池や、バナジウムなどのイオンを利用するレドックスフロー電池が紹介されている。総務省消防庁の報告書では、蓄電池設備全般について「近年主流となっているリチウムイオン蓄電池」という言い方がされているよ。外から中身は分からないから、決めつけずにながめよう。
電池には、冷やすための設備がつくんだ。福島市のガイドラインでは、冷凍機(空調の室外機)や送風機などについて、騒音の特定施設などに該当する場合があるため事前に確認するよう事業者にうながしているよ。
- ① 蓄電池(電力貯蔵装置)— 電気をためる本体。コンテナのような箱におさまっていることもあるよ
- ② パワーコンディショナ(PCS)— 直流と交流のあいだをつなぐ機械。経済産業省の資料では逆変換装置
- ③ 送電設備(キュービクル)— 電気を受けたり送ったりする、金属の外箱に入った設備
- ④ 空調の室外機・送風機 — 電池を冷やすための設備。次の章で見る「音」のもと
- ⑤ さく・へい — 人が中に入れないようにするための、決まりにもとづく設備
- ⑥ 立入禁止の表示 — 見えやすいところにかかげられているよ
- ⑦ 系統へつながる電線 — 構外の電力系統と施設をつなぐ線。第2章の図で「分かれた線」と呼んだのがこれ
図の①〜⑦は、この並びと対応しているよ。名前は公開資料の呼び方にそろえたもの。実際の置きかたは施設ごとにちがうんだ。
なぜ変電所や送電線のそばに作られるの?
系統用蓄電池は、電力のネットワークに直接つなぐ設備だ。だから、つくる前に「ここにつなげますか」と相談する手続きがいる。資源エネルギー庁の解説によると、送電容量を確保するには一般送配電事業者などに接続契約を申し込む必要があり、その順番は申込み順に確保する「先着優先ルール」の考え方だ。以前は、空き容量が無い系統では増強工事が完了するまで連系(=系統につなぐこと)できない、とされていたんだ。
でも、いまは見直しが進んでいるよ。同じ解説では、すでにある系統の「すきま」を使おうという「日本版コネクト&マネージ」が紹介されていて、そのひとつが「ノンファーム型接続」。混雑が予想されるときに出力をおさえられることを受け入れれば、空き容量がなくても系統を増強せずにつなぐことを認めるやり方だ。送配電網協議会の資料でも、蓄電池は電気を出す側にノンファーム接続を適用して、設備の増強を避けながら早く連系できるようにしている、とされている。いっぽう電気をもらう側は、いまのところ系統の容量の確保が必要で、混雑時の充電の制限を前提に容量を確保せずにつなげる仕組みを進める方針が示されているんだ(2026年2月の資源エネルギー庁の資料)。つなぎ方の決まりは、いまも変わっていく途中だね。
送電線などに流せる電気の量には上限がある——これも同じ解説にある説明だよ。だから「どこにつくれるか」は、その場所の系統の余裕に左右される。空き容量の情報は地図のかたちで公開されていて、資源エネルギー庁のページから、電力広域的運営推進機関のページを経由して各社のものを見にいけるんだ。
では、なぜ変電所や送電線の近くで見かけることがあるのだろう。送配電網協議会——送配電の会社が集まる団体だよ——が国の検討会に出した資料には、「一般送配電事業者の送電線や変電所の近傍ほど、系統連系は比較的容易になると考えられる」と書かれている。法律で「変電所の近くに作りなさい」と決められているわけではなく、つなぎ込む先が近いほど進めやすい、というのがこの団体の資料の見かたなんだね。
蓄電池ならではのむずかしさもある。同じ資料では、蓄電池の系統連系の技術検討では、放電側(逆潮流=電気を出す側)と充電側(順潮流=電気をもらう側)の両方の制約を考えて系統への影響を評価する必要があるとされ、そのうえで、さきほどのノンファーム接続や、事故のときに充電を止める装置によって、設備の増強を避けて早く連系できるようにしている、と書かれているんだ(配電系統につなぐ蓄電池は、充電側・放電側の双方の空き容量が必要、という注記つき)。電気を出すときだけでなく、もらうときのことも考えないといけない——ここが発電所とちがうところだね。
手続きにも決まりがあるよ。資源エネルギー庁の資料によると、接続検討では受付から3か月以内(小さなものは2か月以内)に対策工事などを検討して、工事の内容や工期、工事費負担金などを回答することになっているんだ。
音がするのはなぜ? — 法律で決まっていること
近くを通ると、機械の音が聞こえることがある。音のもとになるのは、おもに電池を冷やすための設備だよ。福島市のガイドラインには「冷却ファンによる騒音」という言い方が出てくるし、深谷市のページでも、冷却用のファンとして送風機が組み込まれていることが考えられる、と説明されている。電柱の上の機器のうなり音とは、音のもとがちがうんだ。
音についてのきまりは、ちゃんとあるよ。電気設備に関する技術基準を定める省令には、騒音規制法の特定施設を置く発電所・蓄電所・変電所などのうち、指定された地域内にあるもので発生する騒音は、規制基準に適合しなければならない、という決まりがある。ここには「蓄電所」がはっきり名前で書かれているんだ。
では、特定施設ってなんだろう。騒音規制法では、工場や事業場に設置される施設のうち、著しい騒音を発生する施設であって政令で定めるもの、とされている。その政令の一覧には「送風機(原動機の定格出力が七・五キロワット以上のものに限る。)」があり、深谷市のページでは、蓄電池を設置する場合に該当する可能性があるのはこの送風機だと説明されているよ。つまり「蓄電所そのものが特定施設」なのではなく、中の送風機などが当てはまりうる、ということなんだ。
規制基準というのは、敷地の境界線における音の大きさの許容限度のこと。どの地域を規制の対象にするかは都道府県知事や市長が指定し、基準の数値も地域ごとに決められる。だから「全国どこでも何デシベルまで」という一律の数字はないんだ。深谷市のページでは、規制は特定施設の音だけでなく敷地から生じるすべての音に適用される、とも説明されているよ。
自治体が独自の考え方を示していることもある。福島市のガイドラインでは、事業者に対して、パワーコンディショナなどからの騒音や振動をやわらげるため、防音壁や中高木による緑地その他の緩衝帯を設けるなどの措置を求めているんだ。施設のまわりに壁や木があったら、こうした配慮のあらわれかもしれないね。
街で見かけたときのお約束 — さくの外から、ながめるだけ
ここまで読むと近くで見たくなるけれど、さくの中は高い電圧の設備がならぶ場所だよ。電気設備に関する技術基準を定める省令には、高圧や特別高圧の機器を置く発電所・蓄電所・変電所などについての決まりがある。取扱者以外の人に危険である旨を表示すること、容易に構内へ立ち入るおそれがないように適切な措置を講じること——この2つだ。あのさくと表示は、決まりにもとづいてそこにあるんだね。
見えないところにも、決まりはあるんだ。経済産業省の手引きによると、蓄電所には技術基準に適合するよう維持する義務があり、安全のきまりごとをまとめた「保安規程」をつくって届け出ること、設備を見る資格を持った人(電気主任技術者)をえらぶことが求められる。大きなものには、工事計画の届出や使い始める前の検査も必要だよ。
火事への備えも決まっている。総務省消防庁の資料では、火災予防条例(例)にもとづいて、屋外に設ける蓄電池設備はキュービクル式のものとすること、見やすい箇所に設備である旨を表示した標識を設けることなどが整理されているよ。建築物から3メートル以上の距離を保つきまりもあるけれど、こちらは延焼を防ぐ措置がとられた認定キュービクル式のものなどは除かれるんだ。火災予防条例は市町村ごとの条例だから、細かいところは地域によるよ。
観察のしかたは、ひとつだけ。さくの外から、ながめるだけだよ。
- さく・へいの中には入らない。すきまから手やぼうを入れるのもダメだよ
- 設備にはさわらない。さくによじのぼるのも危ないよ
- まわりは私有地や工事車両の通り道のことがあるから、道をふさがないでね
- 煙が出ている、いつもとちがう大きな音がする、さくがこわれている——そんな異常に気づいたら、近づかずにはなれよう。火事など緊急のときは119番だよ
これから、どのくらい増えるの?
数字を見てみよう。資源エネルギー庁が2026年8月に公表した資料によると、2026年3月末時点で、系統につながって動いている系統用蓄電池は全国で約84万kW。いっぽう、接続検討の受付の状況にあるものが約1億9,100万kW、契約申込みの受付の状況にあるものが約3,500万kWとなっている。ずいぶん差があるよね。
ここがだいじなところ。同じ資料には「接続検討のすべてが系統接続に至るものではない」という注記がついているんだ。接続検討は、まだ「ここにつなげますか」と相談している段階のこと。だから、この大きな数字を「これだけ建つ」と読んではいけないんだね。なお、この数字の集計対象は「高圧以上の蓄電池」とされている。同じ資料には、低圧でつなぐ小さな系統用蓄電池のニーズも増えている、という指摘も書かれているよ。
相談の数そのものは、たしかにふえている。同じ資料では、接続検討の申込みが2022年度に600件程度であったところ、2025年度には2.5万件程度まで増加した、と説明されているんだ。国の後押しもあって、資源エネルギー庁の解説では、脱炭素の電源を支える「長期脱炭素電源オークション」が2023年度から始まり、蓄電池や揚水発電をはじめ多様な案件が落札された、と紹介されているよ。
白い箱がならぶ施設は、電気のネットワークの新しい仲間だ。次に見かけたら、さくの外から①〜⑦のどれがどれか当ててみてね。名前が分かると、いつもの通り道がちょっとちがって見えてくるよ。
よくある質問
系統用蓄電池と、家庭用の蓄電池は何がちがうの?
いちばんのちがいは「つながる相手」だよ。資源エネルギー庁の審議会資料では、系統用蓄電池は系統に直接接続され、電力システム全体の需給変動への対応に活用されるもの、と説明されている。いっぽう、同じ資源エネルギー庁の基礎用語の解説では、蓄電池の役割のひとつとして、停電が発生した場合に自立的に電気をまかなうことができ、非常用電源として使える、と紹介されているんだ。家に置かれた蓄電池は、まずその家の電気のためにはたらくんだね。法律の上でも、経済産業省の手引きでは、発電設備・変電設備・需要設備に併設されている電力貯蔵装置は、規模にかかわらず「蓄電所」には含まれない、と整理されているよ。
近所にできた施設から、音はするの?
音のもとになる設備はあるよ。福島市のガイドラインは冷却ファンによる騒音にふれているし、深谷市のページでは、冷却用のファンなどとして送風機が組み込まれていることが考えられる、と説明されている。ただ、音についての決まりもあるんだ。電気設備に関する技術基準を定める省令は、騒音規制法の特定施設を設置する蓄電所などから発生する騒音について、指定された地域内では規制基準に適合しなければならない、と定めている。規制基準は敷地の境界線における音の大きさの許容限度で、その数値は地域ごとに決められるから、全国一律の数字はないよ。気になるときは、お住まいの市区町村の環境の担当窓口にたずねてみてね。
なぜ変電所や鉄塔の近くに作られるの?
送配電網協議会が国の検討会に出した資料には、「一般送配電事業者の送電線や変電所の近傍ほど、系統連系は比較的容易になると考えられる」と書かれているよ。電力のネットワークに直接つなぐ設備だから、つなぎ込む先が近いほど進めやすい、という説明だね。これは団体の見かたであって、法律で「変電所の近くに作る」と決められているわけではないよ。また資源エネルギー庁の解説によると、送電線などに流すことのできる電気の量には上限があるから、その場所の系統に余裕があるかどうかも大きな要素になるんだ。以前は空き容量が無いと増強工事が終わるまでつなげなかったけれど、いまは、混雑するときに出力をおさえられることを受け入れれば、空きがなくても増強せずにつなげる「ノンファーム型接続」などの見直しが進んでいる、とも説明されているよ。
停電のとき、この施設から近所へ電気をもらえるの?
そういう役目の設備ではないんだ。資源エネルギー庁の審議会資料では、系統用蓄電池は系統に直接接続され、電力システム全体の需給変動への対応に活用されるもの、と説明されている。法令の定義でも、蓄電所は、構外から伝送された電力をためてふたたび構外へ伝送する所とされていて、同じ構内で需要設備などと電気的に接続されているものは含まれない、とされているよ。つまり、ご近所へ直接くばるための設備ではない、ということになるね。なお、災害などによる大規模停電のときに地域の中で電気をまかなう「地域マイクログリッド」という別の考え方があって、資源エネルギー庁が2019年に公表した資料では、その構築を支援する事業が紹介されているよ。
どうして最近こんなに増えているの?
背景のひとつは、再生可能エネルギーのひろがりだよ。太陽光や風力は天候で発電量が変わるから、使う量と発電する量のバランスを保つのがむずかしくなる。資源エネルギー庁が2026年8月に公表した資料では、再エネの導入拡大により出力制御エリアは全国に拡大している、とされているんだ。そこで役に立つのが蓄電池。送配電網協議会の資料では、電気のあまる時間にためて足りなくなる時間に出すことで、再エネの出力制御量が減少する効果があると考えられる、と説明されているよ。あわせて、脱炭素の電源を支える「長期脱炭素電源オークション」のような国の仕組みもあって、蓄電池も対象になっているんだ。
あわせて読みたい
参考にした公開情報
- 資源エネルギー庁 エネこれ「再エネの安定化に役立つ『電力系統用蓄電池』」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁 エネこれ「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~『蓄電池』は次世代エネルギーシステムの鍵」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 経済産業省「電力貯蔵装置(蓄電池)・蓄電所を設置する場合の手引き」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- e-Gov法令検索「電気設備に関する技術基準を定める省令」(平成9年通商産業省令第52号)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁 なるほど!グリッド「出力制御について」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁「系統用蓄電池の現状と課題」(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 第62回 資料5・2024年5月29日)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁「系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応について」(次世代電力系統ワーキンググループ 第12回 資料2・2026年8月6日)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁「系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応について」(次世代電力系統ワーキンググループ 第7回 資料1-1・2026年2月9日)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁「再生可能エネルギー出力制御の長期見通し等について」(次世代電力系統ワーキンググループ 第12回 資料1-1・2026年8月6日)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 送配電網協議会「蓄電池の系統連系について」(定置用蓄電システム普及拡大検討会(2024年度)第2回 資料4-5・2024年7月4日)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁 なるほど!グリッド「各一般送配電事業者の空き容量マップについて」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 経済産業省「(2)蓄電所における容量(kWh)と出力(kW)の考え方について」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- e-Gov法令検索「騒音規制法」(昭和43年法律第98号)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- e-Gov法令検索「騒音規制法施行令」(昭和43年政令第324号)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 深谷市「系統用蓄電池の設置をお考えの方へ」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 福島市「福島市系統用蓄電池設備に関するガイドライン」(令和8年5月)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 総務省消防庁「蓄電池設備のリスクに応じた防火安全対策検討部会報告書」(令和5年3月)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 総務省消防庁 報道発表「『蓄電池設備のリスクに応じた防火安全対策検討部会報告書』の公表」(令和5年3月28日)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 総務省消防庁 予防課 参考資料「蓄電池設備の関係規定について」(令和4年7月)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁 エネこれ「電力のピンチを救え!大活躍する『揚水発電』の役割とは?」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁 エネこれ「カーボンニュートラル実現に向けて電源への新規投資を促す『長期脱炭素電源オークション』とは?」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 資源エネルギー庁「地域の系統線を活用したエネルギー面的利用システム(地域マイクログリッド)について」(2019年12月6日)(外部リンク・新しいタブで開きます)