安全メモ
九州電力送配電は、送電線や配電線、変電所の電気設備には非常に高い電圧の電気が流れていて、触らなくても近づくだけで感電するおそれがあると案内しています。鉄塔には登らず、敷地にも入らず、柵の外や道の上から見上げてください。関西電力送配電は「タコ上げやラジコン飛行機遊びなどは、必ず電線のない所でしましょう」と案内しています。


でんチュンの解説
鉄塔のがいし連を見上げると、上の端と下の端に、角のような金具が付いていることがあるよ。それがアークホーン。日本ガイシは、懸垂がいし装置には、雷や汚れが原因の放電現象(アーク)からがいしを守る「アークホーン」という棒状の部品がついていると説明しているんだ。パワーアカデミー(産学連携の電気工学情報サイト)の用語集では、ホーンまたはリング状にがいし連の両端に取り付ける金具だと説明されているよ。ここから先はぼくの見方だけど、地上から探すなら、がいし連の上下の端で電線とちがう向きへ突き出た角をさがすのが早いよ。何のためにあるのかな。送電線の建設・保守をするタワーライン・ソリューションの解説では、落雷時の雷電圧に耐えられる設計は不可能で、フラッシオーバを前提として設備に被害を生じないようにするため、我が国ではほとんどの送電線にアークホーンという金具を設置していると説明されているんだ。雷の飛ぶ場所を、あえてがいしから離した所につくっているということ。同社は、がいし連長に対してアークホーン間隔を75〜80%の長さに設定していると説明しているよ。角と角の間が近道になるから、そこで飛ぶんだ。ただし公益社団法人 日本電気技術者協会は、アーキングホーンにアークを移しても地絡状態であることに変わりはないと書いているよ。地絡は、電気が本来の道からはずれて大地へ流れてしまう状態のこと(ここでの言い換え)。アークホーンはがいしを壊さないための金具で、事故そのものをなくす装置ではないんだ。そのあとは電力中央研究所の資料のとおり、変電所の遮断器を瞬間的に開閉して、アーク放電が続くのを防ぐよ。電柱の側にも似た役目の装置があって、北陸電力の研究年報には「高圧線保護用耐雷ホーン」という呼び名で出てくるんだ(呼び方はこの資料でのもの)。電気を大地へ逃がす避雷器とは、はたらきが違うよ。ちなみに、電車のパンタグラフにも同じ名前の部品があるけれど、ここで話しているのは送電線のほうだよ。
図解
見分けるヒント
- 場所はがいし連の両端。パワーアカデミー(産学連携の電気工学情報サイト)の用語集は、がいし連がフラッシオーバを起こした場合にがいしの被害を最も少なくするため、ホーンまたはリング状にがいし連の両端に取り付ける金具だと説明している
- 角と角の間隔は、がいし連の長さより少し短い。タワーライン・ソリューションは、がいし連長に対してアークホーン間隔を75〜80%の長さに設定していると説明し、公益社団法人 日本電気技術者協会もホーン間隔と碍子連長の比をZ/Z0≦0.8にしていると説明している
- アークを移しても事故は残る。日本電気技術者協会は、アーキングホーンにアークを移しても地絡状態であることに変わりはないと書いている。がいしを守る金具であって、停電を防ぐ装置ではないんだ
よくある質問
アークホーンとは、何をするものなの?
がいしを守るための金具だよ。パワーアカデミーの用語集では、がいし連がフラッシオーバを起こした場合にがいしの被害を最も少なくするため、ホーンまたはリング状にがいし連の両端に取り付ける金具だと説明されているんだ。発生したアークをホーンの先端に生じさせてがいしに触れさせず、がいしの破損を防ぐ、とも書かれているよ。
アークホーンと避雷器は、何がちがうの?
受け持つ役目が違うんだ。電力中央研究所の資料では、避雷装置は落雷時に設備が損傷する前に雷のエネルギーを大地へ逃がすものだと説明されていて、アークホーンはがいしをアーク放電から守るものだと書き分けられているよ。ただし同研究所の報告書には「酸化亜鉛型避雷アークホーン」という、両方のはたらきをあわせ持つものの記載もあるんだ。電柱に付いているほうは、図鑑の「避雷器」を見てね。
アークホーンは電柱にもあるの?
鉄塔の金具だけど、配電の側にも似た役目の装置があるよ。北陸電力の研究年報には、高圧線保護用耐雷ホーンなどの取付けを行ってきており、高圧線や変圧器の雷害は減少してきていると書かれているんだ。呼び名はこの資料でのもので、電力会社ごとにどう呼んでいるかまでは確かめられていないよ。
アークホーンが働けば、停電しないの?
そうとは限らないんだ。公益社団法人 日本電気技術者協会は、アーキングホーンにアークを移しても地絡状態であることに変わりはないと書いているよ。守っているのはがいしで、事故そのものは残るということ。同協会は、いったん故障箇所を遮断すればほとんどの場合絶縁は回復するとも書いていて、そのあと自動でスイッチが入って送電が戻る(再閉路といいます)しくみにつながるんだ。
関連する項目
くわしい読みもの
参考にした公開情報
- パワーアカデミー(産学連携の電気工学情報サイト)「電気工学用語集/アークホーン」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- タワーライン・ソリューション(送電線の建設・保守会社)「架空送電線の話/調査・設計」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 公益社団法人 日本電気技術者協会「音声付き電気技術解説講座/架空送電線の再閉路」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 電力中央研究所「電中研ニュース No.368 アーク電流遮断用アークホーンを商用化」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 日本ガイシ「『がいし』の形と種類について」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 北陸電力 研究年報「配電線下方に取付ける架空地線による避雷器雷被害の抑制」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 電気学会 電力・エネルギー部門「用語解説 第14回テーマ:送電用避雷装置」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 電力中央研究所 報告書「66kV送電用酸化亜鉛型避雷アークホーンのフラッシオーバ特性(その2)」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 九州電力送配電「鉄塔や電柱に登ったり、変電所への立入りはやめてください」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 関西電力送配電「その他のご注意いただきたい電気事故」(外部リンク・新しいタブで開きます)
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