変圧器入門

地上機器

ちじょうきき / トランスボックス・地上変圧器・路上機器・路上変圧器・パッドマウント変圧器・歩道の箱・歩道の四角い箱・地上機器とは・電線共同溝 地上機器

安全メモ

地上機器の中には、高圧の電気を扱う変圧器や開閉器が入っています(東京都建設局・国土技術政策総合研究所の公開資料)。「電気設備に関する技術基準を定める省令」の第九条は、高圧又は特別高圧の電気機械器具は、取扱者以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならないと定めています。扉は開けるものではありません。さわらない・登らない・もたれない・ものを立てかけない・扉を開けない。扉が開いていたり壊れていたりするのを見かけたら、近づかずに大人に伝えてください。

でんチュン(電柱に住むスズメ)が安全を呼びかけているイラスト
でんチュンの顔アイコン

でんチュンの解説

電柱が1本も立っていない通りに入ったことはあるかな。空が広くて気持ちいいよね。その通りの歩道のはしっこに、グレーっぽい四角い箱がすっと立っているのを見たことはない? あの箱がね、キミのさがしていた電気の通り道の大事な一部、「地上機器」かもしれないんだ。

あの箱の名前は「地上機器」。東京都建設局の公開ページでは、歩道上に設置されている四角い箱は「地上機器」といって、箱の中には、一般家庭に送るために高圧の電気を低圧に変える装置、停電のときに電気の流れを切り替える装置、各戸用に電気を配る装置が入っている、と説明されているよ。まちでは「トランスボックス」と呼ばれることもあるよ(公的な資料の表記は「地上機器」)。電気を送る会社の公開ページでは「路上変圧器」など「路上〜」と呼ぶこともあるよ。

電線は地面の下に入ったのに、どうして箱だけ地上に出ているんだろう。国土技術政策総合研究所(国の研究所だよ。以下「国総研」)の資料では、開閉器や変圧器、低圧の分岐は防水上の観点から地下収容が困難であるため、地上機器として地上に設置する、と説明されているんだ。水に弱いから、水が入りにくい地上に置いている、ということだね。

さっきの3つの装置には、ちゃんと名前があるんだ。国土技術政策総合研究所の資料では、電力の設備として主にこの3つが挙げられているよ。ひとつめは地上変圧器。「柱上変圧器は『地上機器』として設置される」と書かれていて、電柱の上にいたあの子が、地上に降りてきたんだね。ふたつめは高圧開閉器で、柱上の開閉器を集約するなどして地上に設置されるとされているよ。みっつめは低圧分岐装置。低圧幹線ケーブルを分岐して、各戸へ電気を届ける装置だよ。柱の上にいたころの姿は、図鑑の「柱上変圧器」で見てね。

無電柱化のやり方は1つじゃないんだ。国土交通省の公開ページは、電線共同溝方式・軒下配線方式・裏配線方式の3つを説明しているよ。国土交通省関東地方整備局は、電線共同溝方式による無電柱化を基本としていると書いているんだ。東京都建設局は「電線共同溝による無電柱化には、必ず地上機器が必要になる」としていて、国総研の資料は、配置が困難な場合は、地上機器を必要としない手法(裏配線など)の適用も考えられる、としているよ。ただし軒下配線方式や裏配線方式は、沿道の建物の協力が要るなど使える場所がかぎられるよ(国総研の資料)。

じゃあ、どこにでも置けるのかな。そうじゃないんだ。国総研の資料では、地上機器は車道に近い側の歩道端に設置することが多いとされ、歩道に置く場合は、歩く人が通れる幅(有効幅。例えば2.0m)を考えると、歩道の幅(歩道幅員)は最低2.5m必要、と説明されているよ。住宅の玄関先等は避けること、運転者の視距(運転席から見通せる距離のこと)と歩道等利用者の見通しを妨げないことも挙げられているんだ。置き場所は、通る人のじゃまにならないように決められているんだね。

見た目で中身を当てられるかな? それが、むずかしい。国総研の資料には「形状や大きさは設置時期や配電事業者によって異なる」と書かれているよ。歩道の箱は電力のものだけじゃない。国土交通省の設備一覧には、電力・通信・CATVの地上機器が並んでいるんだ。信号機にも「制御機」という機器があると説明されているよ(青森県警察の公開ページ)。道路のそばには、電気を使う別の機器もあるんだ。だからでんチュンとの約束はこれ。「形で決めつけない」。

いちばん大事な約束の話。箱の中には、高圧の電気を扱う機器が入っていることがあるよ。関東地方整備局の用語集は、高圧を6,600V、低圧を100Vまたは200Vとしているんだ。だから国のルールでも、そういう機器は取扱者以外が容易に触れないように施設すると決められているんだ(電気設備に関する技術基準を定める省令)。扉は、開けるものじゃない。さわらない・登らない・もたれない・ものを立てかけない・扉を開けない。

この箱、海外にもなかまがいるよ。関東地方整備局や国総研の資料では、地上に置かれた変圧器をPT(パットマウント)と呼んでいて、英語のpadに据え付けられた(mounted)という意味に由来すると説明されているよ。アメリカの市が運営する電気事業の公開ページでも、pad-mounted transformerは緑やグレーの大きな金属の箱のように見えると説明されていて、子どもを上や近くで遊ばせないでと案内されているんだ。

電柱のない通りに出会ったら、歩道のはしっこを見てみて。四角い箱があったら、それが電気の通り道の一部かもしれないよ。色も形もいろいろだから、決めつけないでね。11月10日は、法律で決められた「無電柱化の日」。その日のミッションは「電柱観察ごよみ」の秋のページにあるよ。

図解

柱上変圧器と地上機器を左右で見くらべた正面図。左は電柱のある通りで、電柱の中ほどに灰色の円筒形の柱上変圧器が付き、上から架空地線・高圧配電線3本・低圧配電線2本が横に走り、低圧配電線から分かれた引込線が家へ伸びている。右は電柱のない通りで、空に電線は1本もなく、車道に近い側の歩道端にグレーの四角い箱(地上機器)が立ち、扉の合わせ目と足元の基礎が見える。地面の下には破線で管路が描かれ、そこから家へ電気が引き込まれている。左右のあいだに太い赤い矢印があり、両パネルの下の帯に「同じ『変圧器』の仕事が、柱の上から歩道の箱へ」と書かれ、箱の横には高さ1.45mの例を示す寸法線がある。下の注記には、イメージ図であること、箱の形や大きさは設置時期や配電事業者によって異なること、1.45mは例であって規格ではないこと、さわらず扉も開けず目だけで観察することを書いている。
出典: 電柱図鑑オリジナル図解(公開情報をもとに作成)
無電柱化の3つの手法を横に並べた概念図。左は電線共同溝方式で、道路の地下に管路の帯があり、歩道端にグレーの四角い箱(地上機器)が赤い枠で強調され、家へは地下から電気が引き込まれる。「地上機器が必要」のバッジが付いている。中央は軒下配線方式で、主要な通りの脇道に電柱が1本立ち、そこから沿道の家の軒下・軒先へ電線が渡る。列の上には淡い色のバッジ「公的資料で要否を確認できていない」が付いている。右は裏配線方式で、手前の主要な通りには電線がなく、奥の裏通りに電柱が立ち、そこから家へ引き込む。「地上機器を必要としない手法として挙げられている」のバッジが付いている。下の黄色い帯には、電線共同溝による無電柱化には必ず地上機器が必要になるという東京都建設局の説明と、配置が困難な場合は整備道路区域外の配置や地上機器を必要としない手法(裏配線など)の適用も考えられるという国土技術政策総合研究所の説明を書いている。さらに下の注記に、イメージ図であること、軒下配線方式は建物の軒等が連続している区間に適し、沿道の土地・建物所有者との合意形成が重要とされること(国土技術政策総合研究所)、地上機器の要否は公的資料で確認できていないため図でも示していないことを書いている。
無電柱化の3つの手法と、地上機器(イメージ図)出典: 電柱図鑑オリジナル図解(公開情報をもとに作成)

見分けるヒント

  • さがすなら電柱のない通りの歩道、それも車道寄りのはしっこ。国土技術政策総合研究所の資料は、地上機器は車道に近い側の歩道端に設置することが多いと説明している
  • 大きさは箱によってちがう。同じ資料は「地上機器には高さ1.45mと大きなものもある」と書いている(例であって規格ではない)
  • 外からは中身が見えない。東京都建設局の公開ページによれば、高圧を低圧に変える装置・停電のときに電気の流れを切り替える装置・各戸へ配る装置が入っている
  • 同じ形をさがしてもむだ足。国土技術政策総合研究所の資料は「形状や大きさは設置時期や配電事業者によって異なる」と明記し、大阪市・大分市・金沢市・名古屋市の見た目のちがう例を並べている
  • 歩道の箱は電力だけじゃない。国土交通省の設備一覧には電力・通信・CATVの地上機器が並んでいる。信号機にも「制御機」という機器がある(青森県警察の公開ページ)。見た目で持ち主や中身を決めつけないのが観察の約束

よくある質問

歩道にあるグレーの箱は何?

歩道に立っている四角い箱は「地上機器」だよ。電線を地面の下に収めた通りで、変圧器などをおさめた箱のことを、東京都建設局の公開ページは「地上機器」と呼んでいるんだ。中に入っている機器のことは、上の解説でくわしく紹介しているよ。電柱のない通りで見かけることが多いんだ。

地上機器は触っても大丈夫?

さわらない・登らない・もたれない・扉を開けない、が約束だよ。中には高圧の電気を扱う機器が入っていることがあるから、扉は開けるものじゃないんだ。扉が開いていたり壊れていたりするのを見かけたら、近づかずに大人に伝えてね。道路を管理しているのは国や都道府県、区市町村、電線を管理しているのは電気や通信の事業者だと、東京都建設局の公開ページは説明しているよ。だから伝える先は、その人たちだね。

なぜ地面の上に出ているの? 電線は地中なのに

水がにがてな機器だからだよ。国土技術政策総合研究所の資料は、開閉器や変圧器、低圧の分岐は防水上の観点から地下収容が困難だと説明しているんだ。だから、電線は地面の下、機器は地上の箱、と置き場所が分かれているんだね。

柱上変圧器とどう違うの?

電圧を下げる仕事は同じだよ。国土技術政策総合研究所の資料は「柱上変圧器は『地上機器』として設置される」と書いているんだ。ちがうのは置かれる場所(電柱の上か、歩道か)だよ。歩道には、地上変圧器のほかに高圧開閉器や低圧分岐装置といったなかまの地上機器も置かれるんだ(国土技術政策総合研究所の資料)。

「トランスボックス」と同じもの?

同じものを指して使われる呼び方だよ。公的な資料では「地上機器」と書かれていて、その中の変圧器は「地上変圧器(PT・パットマウント)」と呼ばれているんだ。PTは、英語のpadに据え付けられた(mounted)という意味に由来すると、国土交通省関東地方整備局や国土技術政策総合研究所の資料で説明されているよ。電気を送る会社の公開ページでは、「路上変圧器」「路上開閉器」のように「路上〜」と書く会社もあるよ。

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