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秋の夕方、電線に鳥がびっしり並ぶのはなぜ? — ムクドリのねぐら入りと、春のカラスの巣とのちがい

最終更新: 2026-09-19/公開情報をもとに作成しています

秋の夕方、電線に鳥がびっしり並んでいるのを見上げたことはありませんか。数十羽、ときには数百羽が等間隔に並んで鳴き交わし、日が沈むころにいっせいに飛び立って、近くの街路樹に吸い込まれていく。多くの場合、その正体はムクドリで、この光景には名前がついています。

この行動は「ねぐら入り」と呼ばれます。厚木市の公開ページでは、ムクドリは夜間も明るく、カラス等の天敵から身を隠せる場所をねぐらにするのを好み、夕暮れになると集まる習性があると説明されています。群れが電線に並ぶこと自体を停電の原因として挙げている公的な資料は見当たりません。フンや鳴き声の相談先は自治体によって案内が分かれ、街路樹のねぐらは市区町村の環境担当、電線・電柱にとまる鳥は電線の管理者(電力会社など)を案内している市もあります。

このページでは、秋の夕方に何が起きているのかを自治体と省庁の公開情報で確かめ、春のカラスの巣とのちがい、困ったときの連絡先の考え方までを整理します。なお、追い払いの方法や対策器具、業者の選び方や費用は扱いません。鳥が感電しない理由は図鑑の「鳥と電線」、電柱の上のカラスの巣は別の記事で扱っています。

秋の夕方に起きていること — 電線に並び、いっせいに飛び立ち、街路樹へ

日の入りの前後、電線に数十羽から数百羽が等間隔に並び、鳴き交わし、何かの合図でいっせいに飛び立ちます。新潟県の公開ページには、ムクドリについて、ねぐら入りの前には大きな群れが巨大な生物がうごめくように飛び交う様子をみることができる、と書かれています。渦を巻くように舞ったあと、群れは近くの街路樹や竹林に降りて、ぱたりと静かになります。

この一連の行動が「ねぐら入り」です。東京都環境局の資料が引用している中央農業総合研究センターの解説では、ムクドリは主に群れで生活し、夏から秋にかけて笹藪や街路樹などに大集団でねぐらを作るとされています。新潟市の公開ページでも、夏から秋にかけて大きな群れを成し、立ち木に大群でねぐらを作る習性があると説明されています。これは「巣」ではなく「寝る場所」です。卵やヒナがいるわけではなく、夜を過ごすために集まっています。

季節の目安は、市川市が公開している「ムクドリの1年間の動き」が分かりやすい骨組みになります。7〜10月頃に夏の繁殖期が終わって数が増え始め、夕方に群れで集まりだす。11〜2月頃には市街地に大群でねぐらを作る。3月頃に繁殖期へ入ると群れが解散し、4〜6月頃は郊外や農地に分散して市街地では目立たなくなる、という流れです。東京都環境局の資料が引用している中央農業総合研究センターの解説は、被害が増えるのは数百〜数千羽程度の群れがつくられる夏ねぐらの時期(6月〜10月頃)としながら、近年では一年中ねぐらが作られる地域もあると補足しています。駅前のムクドリのねぐらについて書かれたツイートを2年分集計した学会の集会報告では、ツイート数は10月がピークで、次いで9月・11月が多かったとされています。これはねぐらを数えた調査ではなく、報告者自身も「駅前にムクドリの集団塒が形成される季節を、おおよそ示していると考えられる」と書いています。同じ報告の大阪府内の現地調査では、調査回数が少なく正確な季節変化は明らかにできなかった、とされています。地域や年によって時期は変わります。

群れの大きさも、場所によってさまざまです。東京都環境局の資料が引用している解説では数百〜数千羽程度、新潟市の公開ページでは、ねぐらに入るときに集団が大きくなり、ねぐらの大きさにもよるものの1万羽に及ぶこともあるとされています。全国の目安としては、環境省生物多様性センターが36都道府県178か所の報告を集めた調査で、確認された集団ねぐらの約7割が数百羽から数千羽の規模、1万羽以上の大きなねぐらは13か所(9.0%)だったとされています。ただしこの調査自体が「収集できた情報は、実際に日本に分布する集団ねぐらのごく一部」と断っているので、全国の総数ではありません。

夕方の街の電柱と電線を正面から描いたイメージ図。左に上が細く下が太い電柱が立ち、いちばん上に架空地線、その下に高圧配電線が3本、さらに下に低圧配電線が2本、右端まで水平に伸びている。がいしは1本の線に1個ずつ付いている。低圧配電線の上の1本に、ムクドリの黒いシルエットが等間隔でびっしり並び、高圧線にも数羽がとまっている。右側には丸い樹冠の街路樹があり、電線から街路樹へ向かって飛んでいる数羽と、群れがねぐらへ移る向きを示す青緑の矢印が描かれている。電柱のてっぺんには小さなスズメのでんチュンがとまり、名札で示されている。左上に日の入りごろの太陽、中ほどに「ねぐら入り」の名札カードがあり、下にイメージ図であり設備の形や鳥の数は実際と異なる旨の注記がある。
夕方の電線に並ぶムクドリと、となりの街路樹(イメージ図)出典: 電柱図鑑オリジナル図解(公開情報をもとに作成)

なぜ群れる? なぜ電線? — 夜を安全に過ごす「ねぐら」のしくみ

では、なぜ夕方に集まるのでしょうか。厚木市の公開ページは、この問いに正面から答えています。ムクドリは、夜間も明るく、カラス等の天敵から身を隠せる場所をねぐらにするのを好み、また夕暮れになると集まる習性がある。だから本厚木駅の周辺の街路樹などに大量に集まってくる、という説明です(厚木市の例です)。夜を安全に過ごせる寝床を、みんなで確保する。それが群れの理由です。

もともとムクドリは、山や農村に多く生息し、虫を食べてくれる益鳥としての側面がある鳥でした。市川市の公開ページでは、近年は餌が豊富で天敵の少ない都市部でも多く繁殖するようになり、都市部の街路樹などに集団でねぐらを形成するため、騒音や糞害の被害が多く報告されていると説明されています。

ねぐらに選ばれる場所については、少し古い全国調査があります。1990年代前半に行われた環境省生物多様性センターの調査報告では、ねぐらとして利用されていた環境のうち、もっとも多いのが竹林、次いで雑木林で、この両方で全体の6割から7割を占めました。そのほか建物や河原、街路樹、ヨシ原などさまざまで、建物や橋桁、鉄塔などの人工物をねぐらとして利用していたのは21か所(14.6%)でした。東京都環境局の資料では、都心部のねぐらは駅前の単木や数本の樹木、公園内の樹木、神社等の竹林などで確認されているとされています。ただしこれは都市のねぐらが増える前の断面です。2017年までに全国で350か所以上の都市のねぐらを集めた学会の集会報告では、1980年代後半から増えはじめ2000年以降に急増したとされ、人工物では電線が多かったと報告されています。

では電線はどうでしょうか。学会の集会報告には、市川市で駅前のクスノキを強く剪定したところ、ムクドリが器具の付いていない電線に移動し、その後もねぐらを作っている、という報告が載っています。東京都環境局の資料に載っている千葉県へのヒアリング結果では、大きなねぐらは捕獲が難しいため、公園や道路の管理者が木の剪定や電線へのとまり対策などを行っている、とされています。東京都環境局の資料は、これらの対策を講じてもムクドリが次に移動する先で被害が生じることがある、とも述べています。ここから言えるのは、電線そのものがねぐらになることもある、というところまでです。「近年、全国的に街路樹から電線へ移っている」と言えるだけの統計は見当たりませんでした。電線が選ばれやすい理由についても、公的な解説は厚木市の「明るく、天敵から身を隠せる場所」という説明にとどまります。

もう一度、「巣」との違いを確かめておきます。東京都環境局の資料が引用している中央農業総合研究センターの解説によれば、ムクドリが巣を造るのは疎林の樹洞や人家の戸袋など、建物のちょっとしたすき間です。新潟市の公開ページでは繁殖は3月下旬から7月の間、環境省生物多様性センターの報告でも産卵期は3月下旬から7月頃とされています。秋の夕方に電線へ並んでいる群れは、繁殖のためではなく、寝るために集まっている。この違いが、あとで出てくる「困りごとの種類」の違いにつながります。

電線・電柱の側から見ると — 感電しないわけ、フンの汚れ、停電との関係

ここからは、電線と電柱の側からこの群れを見てみます。まず、いちばんよく聞かれる疑問から。あれだけ並んでいて、なぜ感電しないのか。日本電線工業会の解説では、鳥は1本の電線にしか触れていないため、電気は抵抗の小さい電線側を流れ、鳥の体に流れることはないと説明されています。体が同時に2本の線に触れると話は変わりますが、そこから先と、人が絶対にまねできない理由は、図鑑の「鳥と電線」にまとめてあります。

長い時間集まると、電線の「下」で起きることがあります。安城市に寄せられた市民の声には、三河安城駅周辺の電柱・電線にとてつもない数の鳥がとまり、歩道にフンが大量に落下して不衛生で異臭がする、という投稿が公開されています。四国電力送配電の公開されたご質問にも、庭を横切っている電線に鳥が止まるため、下に止めている車や洗濯物が汚れて困る、という相談が載っています。鳴き声も定番の困りごとです。新潟市の公開ページでも、フンや鳴き声の被害が挙げられています。

一方で、電線やがいしなど設備そのものへの影響を一般向けに説明した公開資料は、今回の調査では見つかりませんでした。そのため、このページではそこには踏み込みません。

停電との関係はどうでしょうか。関西電力送配電の「停電の原因」は、原因を樹木や鳥獣等の接触・風や雨・雷・雪の4つに分けています。このうち鳥がかかわるのは1つ目で、成長した樹木や、カラスやヘビなどの鳥獣、鳥の営巣に使われる針金などが電線に接触すること、と説明されています。九州電力送配電、東北電力ネットワーク、中部電力パワーグリッド、北海道電力ネットワークが住民に通報を呼びかけているのも、一貫して「巣」です。電線に並んでいること自体を停電の原因として説明している公的な資料は、見当たりません。ただし「群れでは絶対に停電しない」と書かれた資料があるわけでもないので、ここでは「原因として挙げられていない」というところまでです。

電柱や電線には、鳥がとまりにくくするための鳥害対策器具が付いていることがあります。どんな種類があるかは図鑑にまとめてあります。東京都環境局の資料には、八王子市で街路樹の剪定や植え替えのほか、電力会社に相談して電線にテグスを張ったという例が載っています。ただし、どんな場合でも器具を付けてもらえる、という話ではありません。安城市が電線の管理者に確認した回答では、鳥よけ対策を行うには「直接被害を受けている方からの連絡が必要」とされています。四国電力送配電は、現地確認のうえ効果的な対策を相談する、と案内しています。まずは電線の管理者に、被害の場所と状況を伝えるところからです。

対策の効き目についても、公開された記録が残っています。安城市の回答は、鳥獣防除機器の使用などにより対策を実施しているものの、一時的な効果しか得ることができず対応に苦慮している、と書いています。東京都環境局の資料は、対策を講じてもムクドリが次に移動する先で被害が生じることがあると述べ、市川市は、ムクドリ対策については全国的にも根本的な解決策が見つかっていないのが現状だと明記しています。連絡すれば群れが消える、という種類の困りごとではありません。

鳥と電線(図鑑)鳥害対策器具(図鑑)

春のカラスの巣と、秋のムクドリのねぐら — 似ていても「困りごとの種類」がちがう

春も秋も、電柱まわりで鳥が目立ちます。ただし見分けるポイントは、鳥の種類や季節ではありません。「巣」なのか「ねぐら」なのか、という行動の違いです。巣は繁殖のための場所、ねぐらは寝るための場所。ここが違うと、困りごとの種類も、連絡する先も変わります。

まずカラス側です。東京都環境局のQ&Aでは、カラスは繁殖期(およそ3月下旬から7月上旬ごろ)になると巣をつくり、卵を産んでヒナを育てるとされています。九州電力送配電は、3月から6月がカラスやカササギの繁殖期だと案内しています。問題になるのは巣の材料です。東京都環境局のQ&Aには、都会のカラスは針金ハンガーを巧みに使い、一つの巣に何十本もの針金ハンガーが使われていることがあると書かれています。この金属が電線に触れると短絡して停電の原因になるため、九州電力送配電、東北電力ネットワーク、中部電力パワーグリッド、北海道電力ネットワークが、見つけたら知らせてほしいと呼びかけています。

ムクドリ側はどうでしょう。秋の群れは繁殖ではなく、ねぐらです。巣のほうは、新潟市や環境省生物多様性センターの記述のとおり、戸袋や樹洞などのすき間に春から初夏にかけて作られます。そして前の章で見たとおり、群れが電線に並ぶこと自体は、関西電力送配電の「停電の原因」にも、各社の通報の呼びかけにも挙げられていません。

だから、困りごとの種類が違います。巣は設備の問題で、行き着く先は停電です。ねぐらはフンや鳴き声という生活環境の問題で、行き着く先は暮らしの困りごとです。前者の連絡先は送配電会社。後者は、街路樹のねぐらなら市区町村の環境担当、電線・電柱にとまる鳥なら電線の管理者を案内している市があります。カラスの巣の連絡先や、自分で撤去してはいけない理由は、別の記事にまとめてあります。

ひとつ注意を。電線に並ぶ群れが、すべてムクドリとは限りません。自治体の案内も「ムクドリなど」「ムクドリ等」という書き方をしています。種類を言い当てることよりも、巣なのかねぐらなのかを見分けるほうが、次の行動を決めるうえでは役に立ちます。

電柱を中央に描き、春のカラスの巣と秋のムクドリのねぐらで困りごとの窓口がちがうことを示した概念図。中央の電柱には架空地線、高圧配電線3本、低圧配電線2本があり、がいしは1本の線に1個ずつ付いている。柱のてっぺんには枝と針金ハンガーでできたカラスの巣がのり、右側の低圧線にはムクドリの群れが並んでいる。左の赤橙の枠のカードは「春 — カラスの巣(電柱の上)」で、針金ハンガーなどの巣材が電線に触れると停電の原因になるため、見つけたら送配電会社へ連絡すると書かれている。右の青い枠のカードは「秋 — ムクドリのねぐら(電線・街路樹)」で、群れが並ぶこと自体は停電の原因として挙げられておらず、電線上の鳥は電線の管理者(電力会社など)へ、フン・鳴き声は市区町村の環境担当へ、街路樹はその道路・公園の管理者へという3つの経路が書かれている。下の黄色い帯には、電柱の上に巣がある・電線に物がかかっている・線が垂れているときは送配電会社へ連絡すること、群れが並ぶこと自体は巣の通報の対象ではないこと、電線上の鳥のフンには電線の管理者への相談窓口が公開されていることが書かれている。いちばん下の注記に、電話番号は載せていない旨が書かれている。
巣とねぐらで、困りごとの窓口がちがう(イメージ図)出典: 電柱図鑑オリジナル図解(公開情報をもとに作成)

電柱にカラスの巣を見つけたら — 連絡先と知っておきたいこと

困ったときの窓口 — 街路樹は市区町村と道路管理者、電線上の鳥は電線の管理者

街路樹のねぐらによる生活環境の困りごとは、お住まいの市区町村の環境担当が入口になります。新潟市は「ムクドリによる生活環境被害」のページを設けて最寄りの区役所への問い合わせを案内し、厚木市では農業政策課の鳥獣対策係が窓口になっています。市川市も案内ページを公開していますし、枚方市は総合コールセンターのFAQで、電線や電柱に鳥が大量に留まって糞を落とされて困る、という相談を扱っています。ただし困っている場所が電線・電柱の場合、自治体は電線の管理者を案内することが多く、新潟市は東北電力、枚方市は関西電力、日野市は「電線の管理者(電力会社など)」への相談を案内しています。

自治体の案内に従うと、状況に応じて電線の管理者や道路管理者への相談を勧められることがあります。頭上の線は、送配電会社のものだけとは限りません。安城市の回答では、市内の電線の主な管理者として、電力会社のほかに通信会社とケーブルテレビ会社が挙げられています。これは安城市の例で、全国どこでも同じとは限りません。自分の地域ではどこが管理者なのかを、自治体の案内で確かめるのが早道です。

ねぐらが街路樹なら、その道路や公園の管理者が相手になります。国土交通省の「道の相談室」は、樹木の剪定のお願いはそれぞれの道路管理者へ伝えるよう案内しています。国が管理する国道なら国土交通省の国道事務所、都道府県または政令指定都市が管理する国道・都道府県道なら都道府県等の土木事務所等、市町村道なら市町村の土木事務所等です。厚木市では道路管理者が街路樹の枝の剪定などを行っていますし、安城市は歩道の汚れについて、愛知県が管理する県道と市が管理する市道とで連絡先を分けて案内しています。

設備の異常を見つけたときは、送配電会社へ直接連絡します。電柱の上に巣がある、電線に物がかかっている、線が垂れている。こうした場合です。各社が「見つけたら知らせてほしい」と広く呼びかけているのは巣です。なお、会社によっては、電線にとまる鳥のフンについて個別の相談窓口を設けていることがあります。東京電力パワーグリッドのよくあるご質問には申し込み窓口が、四国電力送配電のご質問には現地確認のうえ効果的な対策を相談する、という案内があります。ただしこれは各社が個別に設けている案内で、群れそのものの通報窓口ではありません。まずお住まいの自治体の案内を確かめてから使ってください。費用や効果は公開情報で確かめられなかったため、触れません。

どの窓口に連絡するときも、共通のコツがあります。安城市の回答では、連絡の際は場所の特定のため、電柱に記載の電柱番号(数字とカタカナ)を併せて知らせてほしい、と案内されています。札の読み方は、図鑑と別の記事にまとめてあります。

法律のことも一つ。ムクドリも野生鳥獣で、環境省の解説にあるとおり、鳥類または哺乳類に属する野生動物として鳥獣保護管理法の対象です。東京都環境局は、許可なく野鳥を捕獲・殺傷すること、飼うことは禁止されており、違反者には罰則が科せられると案内しています。枚方市のFAQは、野生鳥獣は原則として捕獲や駆除を行うことができないため、市による駆除は行っていないと明記しています。東京都はムクドリを有害鳥獣捕獲の対象に含めていますが、これは許可を受けた主体が行うもので、住民がやることではありません。つまり、読者の側にできることは「連絡すること」です。

落ちたフンの掃除について、東京都環境局は、野鳥はさまざまな細菌や寄生虫を持っているおそれがあるため、清掃の際は使い捨てのビニール手袋やマスクを着用するなどし、糞に直接触れないよう注意してください、と呼びかけています。

  • 街路樹などのねぐらによる生活環境の困りごと → まずお住まいの市区町村の環境担当(新潟市・厚木市・市川市が案内ページを公開しています)
  • 電線・電柱にとまる鳥のフン → 電線の管理者。新潟市は東北電力、枚方市は関西電力、日野市は「電線の管理者(電力会社など)」、安城市は電力会社・通信会社・ケーブルテレビ会社を案内しています
  • ねぐらが街路樹 → その道路・公園の管理者。国道は国道事務所、都道府県道は都道府県の土木事務所等、市町村道は市町村の土木事務所等(国土交通省「道の相談室」)
  • 電柱の上に巣がある・電線に物がかかっている・線が垂れている → その地域の送配電会社(各社が呼びかけているのは巣です)

電話番号は変わることがあるため、このページには載せていません。最新の窓口は各機関の公式ページ(記事末尾の参考情報)から確認してください。なお、追い払いの方法や対策器具、業者の選び方や費用については、このサイトでは扱いません。対応はお住まいの自治体の案内に従ってください。

電柱にカラスの巣を見つけたら — 連絡先と知っておきたいこと電柱番号札(図鑑)電柱番号の調べ方

観察のたのしみとお約束 — スズメとムクドリの見分けかた、はなれて見上げる

困りごとの話が続きましたが、最後は観察の話にします。まず、スズメとの見分け方から。環境省生物多様性センターの報告では、ムクドリは体長約24cm、体重約86gで、スズメより一回り大きい灰黒色の小鳥。くちばしと足は橙黄色で、飛ぶと上尾筒の白色が目立つとされています。東京都環境局の資料が引用している中央農業総合研究センターの解説では、頭頂から頬にかけて不規則な白色部があり、声は「キュルキュル」「ジャージャー」などといろいろな声を出すが、きれいな声ではないと説明されています。電線の上からこの声が降ってきたら、ムクドリの可能性が高そうです。

新潟県の公開ページには、ムクドリが「ムクドリ大」などと鳥の大きさの物差しにされる身近な鳥だと書かれています。名前の由来には、ムクノキの果実を好んで食べることに由来する説と、樹木に集団でねぐらをとることから「群木鳥」が転じたという説があるそうです。

親子で試せる観察は、見る・数える・記録するだけで十分です。

お約束は3つです。近づかない、触らない、驚かせない。電柱に登ったり石を投げたり、音や光でおどかしたりしないこと。自分で追い払おうとするのもやめてください。そして電柱の上の巣や垂れた線など設備の異常を見つけたときだけ、その地域の送配電会社へ知らせてください。

秋の夕方、空がオレンジ色になるころ。頭の上でにぎやかな声がしたら、少し足を止めて見上げてみてください。あの群れは、今夜の寝床へ向かう途中です。

  • 日の入りの何分前から集まり始めるか、時刻をメモする
  • 並んでいるのは電柱のどのあたりの線か(上のほうの高圧配電線か、下のほうの低圧配電線か)を見上げて確かめる
  • 飛び立った群れが、どの木に入っていくかを目で追う
  • 同じ場所で、月がかわると数がどう変わるかを記録する

街路樹の真下には、フンが落ちてくることがあります。少し離れた場所から見上げてください。

鳥と電線(図鑑)配電線(図鑑)

よくある質問

ムクドリが大群で群れるのはなぜですか?

夜を安全に過ごすためだと説明されています。厚木市の公開ページでは、ムクドリは夜間も明るく、カラス等の天敵から身を隠せる場所をねぐらにするのを好み、夕暮れになると集まる習性があるとされています。環境省生物多様性センターの報告でも、群れをつくって採食したりねぐらをとったりする習性があり、夏から冬にかけて数万羽もの大規模な集団ねぐらを形成することがあるとされています。市川市は、餌が豊富で天敵の少ない都市部で多く繁殖するようになったと説明しています。街が明るく天敵が少ないことが、そのままねぐらの条件になっているようです。

ムクドリの大群は何月ごろにやってきますか?

地域や年によって変わりますが、目安はあります。市川市が公開している1年間の動きでは、7〜10月頃に夏の繁殖期が終わって夕方に群れで集まりだし、11〜2月頃に市街地で大群のねぐらを作り、3月頃に群れが解散するとされています。東京都環境局の資料が引用している中央農業総合研究センターの解説では、被害が増えるのは数百〜数千羽程度の群れがつくられる夏ねぐらの時期(6月〜10月頃)で、近年では一年中ねぐらが作られる地域もあると補足されています。駅前のねぐらに触れたツイートを集計した学会の集会報告でも、投稿が多かったのは10月がピークで、次いで9月・11月だったとされています。ねぐらを数えた調査ではないので、目安として読んでください。

ムクドリが夕方になるとうるさいのはなぜですか?

ねぐら入りの前後に、鳴き声が集中するためだと考えられます。厚木市の公開ページでは夕暮れになると集まる習性があるとされ、新潟市の公開ページでは、ねぐらに入る時に集団が大きくなり、その際にフンや鳴き声などの被害が見られると説明されています。声そのものについて、東京都環境局の資料が引用している中央農業総合研究センターの解説は、「キュルキュル」「ジャージャー」などといろいろな声を出すが、きれいな声ではないと書いています。鳴き声で困っているときは、お住まいの市区町村の環境担当にご相談ください。電線にとまる鳥のフンについては、新潟市・枚方市・日野市のように電線の管理者(電力会社など)を案内している市もあります。

ムクドリが駅前に集まるのはなぜですか?

厚木市の公開ページでは、ムクドリは夜間も明るく、カラス等の天敵から身を隠せる場所をねぐらにするのを好むため、駅周辺の街路樹などに大量に集まると説明されています。東京都環境局の資料でも、都心部のねぐらは駅前の単木や数本の樹木、公園内の樹木、神社等の竹林などで確認されているとされています。学会の集会報告にも、都市のねぐらは駅前や繁華街・官庁街に多かったという報告があります。ただし、駅前が選ばれる要因を調べた学会の集会報告では、明るさ・人通り・交通量のどれも決め手とはいえなかった一方、「ビル壁」(ねぐらの近くに壁のように立ちはだかるビル)は調べた21か所のすべてにあった、とされています。同じ報告は、ねぐらのある木や電線より高いビル壁がある場所にねぐらができる場合がほとんどで、ビル壁が決め手と考えられる例が2か所あったとも述べています。明るさや人通りよりも、まわりのビルの壁が効いているのかもしれない、という見方です。

ムクドリがいなくなる時期はいつですか?

「いなくなる」というより、群れがほどける、という言い方が近そうです。市川市が公開している1年間の動きでは、3月頃に繁殖期に入ると群れが解散して市街地から徐々に減り、4〜6月頃は郊外や農地に分散して市街地では目立たなくなるとされています。ただしムクドリは一年を通して生息する留鳥で、環境省生物多様性センターの報告では日本では周年生息するとされ、東京都環境局の資料が引用している解説は、近年では一年中ねぐらが作られる地域もあると補足しています。地域によって差があります。

電線にとまっているムクドリは感電しないのですか?

日本電線工業会の解説では、鳥は1本の電線にしか触れていないため、電気は抵抗の小さい電線側を流れ、鳥の体に流れることはないと説明されています。体が同時に2本の線に触れると話は変わる、とも書かれています。人は地面とつながっているため、この条件は成立しません。くわしくは図鑑の「鳥と電線」で扱っています。

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