Sekai Tabi
世界の電柱くらべ — 木の柱の国、コンクリートの国
最終更新: 2026-07-20/公開情報をもとに作成しています
やあ、ぼくでんチュン。前回の旅では、ロンドンやパリみたいに電柱が「ない」街をたずねたよね。じつはあのあと、世界のなかまから続々とお便りがとどいたんだ。「うちの街には電柱、ちゃんとあるよ!」って。
そう、世界には電柱が立っている街もたくさんあるんだ。でもよく聞くと、なんだかようすがちがう。日本の電柱の主役はコンクリートの柱だけど、海の向こうには、木の柱が主役の場所もあるんだって。
「でんチュンの世界の電柱たび」第2回は、世界の電柱の「くらべっこ」がテーマ。日本のコンクリート柱と北米の木の電柱、それからアジアのなかまの街の配電のようすまで、公開されている資料をたよりに旅してみるよ。
日本の電柱は、コンクリートが主役
まずは、ぼくのおうちのある日本から。関西電力送配電の公開ページでは、みなさんが街でよく見かける電柱は「コンクリート柱」と呼ばれる電柱です、と紹介されているんだ。そのほかに、木材を用いた木柱や、せまくて資材を運ぶのがむずかしい場所に建てる組立鋼管柱もあって、建てる場所に合わせて最適な柱が使われていると説明されているよ。
本数もすごいよ。国土交通省の報道発表(2022年)では、全国には依然として約3,600万本の電柱が存在し、毎年数万本単位で増え続けている状況にあるとされているんだ。日本の道を歩けば、たいていコンクリートの柱に出会える、ということだね。
灰色で、上にいくほど少しすぼまる円柱形——それがコンクリート柱の目じるしだよ。くわしい見分け方は、図鑑の「コンクリート柱」と「電柱の種類」のページで紹介しているんだ。
北米は、木の電柱が主役
海をわたって、北米(アメリカやカナダ)へ。ここでたよりにするのは、北米の木の電柱の業界団体「北米木材電柱協議会(NAWPC)」の公式サイト(英語)だよ。そのよくある質問のページでは、本数をまとめた中央のデータベースはないものの、電力と木材電柱の業界では、北米全体で約1億5,000万本(150 million)の木の電柱が使われていると推定されている、と紹介されているんだ。
約1億5,000万本——日本の約3,600万本とくらべると、4倍以上の数だね。あくまで推定の数字だから、きっちり同じものさしでくらべられるわけではないけれど、「北米では木の電柱が主役」という大きな絵は、はっきり見えてくるよ。
え、木ってそんなにもつの?と思うよね。同じサイトでは、電柱になれるのは、まっすぐさや節などのきびしい基準を満たした木だけで、防腐剤による加圧処理をされてから電力会社へ届けられる、と説明されているんだ。そして、きちんと維持管理された木の電柱の設備は70年以上使えるとされていて、点検のときには、腐るのを止めるための防腐処理が現地で施されることもあるんだって。
じつは日本も、昔は木の電柱が普通だったと伝わっているよ。そこからコンクリート柱へ置きかわっていった移り変わりや、函館に今も立っている日本最古のコンクリート電柱の話は、図鑑の「電柱の歴史」のページでしているんだ。ちなみに北米の英語では、電柱を telephone pole と呼ぶことがある——という話は「電柱の英語」のページでどうぞ。
電柱が「見えない」国もある
木の柱の国、コンクリートの柱の国、と来て、3つめは「柱が見えない」国だよ。国土交通省の公開ページでは、ロンドン・パリなどのヨーロッパの主要都市や、香港・シンガポールなどのアジアの主要都市では無電柱化が概成している——つまり、おおむね完成しているとされているんだ。電線が地中などを通っていて、電柱が立っていない街並みが、あたりまえの景色になっている都市があるんだね。
このあたりの話は、第1回の旅「なぜ日本は電柱だらけ? — 世界の無電柱化くらべ」でじっくりたずねたから、気になったらそちらも読んでみてね。日本に電柱が多い理由や、電柱がない街で変圧器がどこにいるのかも紹介しているよ。
そして、ここからがでんチュン流の観察あそび。旅行やニュース、映画で海外の街並みが映ったら、この3つをチェックしてみよう。①電柱はある? ない? ②柱は何でできてる?(木? コンクリート?) ③線は何本くらい架かってる? たったこれだけで、その街の電気の風景がぐっと読めるようになるんだ。
アジアのなかまの街
おとなりの、アジアのなかまの街もたずねてみよう。台湾の電力会社・台湾電力(Taipower)の英語の公開ページでは、変電所622か所を運用していて、送電網は架空線と地中ケーブルを合わせて18,466.4サーキットキロメートル、配電網は434,463サーキットキロメートルにおよぶと紹介されているんだ。サーキットキロメートルというのは、電線の長さを回線ごとに数えた単位のことだよ。
同じ台湾電力のスマートグリッドを紹介する英語ページでは、11.4kVと22.8kVの配電線には架空——電柱などの上を通る線——と地中の両方がある、と説明されているよ。つまり台湾のなかまの街にも、電柱と電線のある景色と、電線が地中を通る通りの、両方があるんだね。
韓国の電力会社・韓国電力公社(KEPCO)の英語の公開ページでは、配電の電圧は22.9kVで、配電線の長さは435,549サーキットキロメートルと紹介されているんだ。ただしこのページには、数字がいつの時点のものかは書かれていないから、「だいたいの規模」として受け取ってね。
台湾の約43万4,000と韓国の約43万5,000——ふしぎと近い数字だね。とはいえ、調べた年も数え方もちがうかもしれないから、「どちらの国にも、街のすみずみまで配電線が張りめぐらされている」くらいの絵で覚えておくのがよさそうだよ。それぞれの街に立つ電柱そのものの姿は、いつかこの旅でゆっくり紹介するね。
なぜ国によってちがうの?
木の国と、コンクリートの国。どうして分かれたんだろう? じつは「これが世界共通の答え」と言い切れる説明が公開資料にあるわけではないんだ。だから今回は、それぞれの資料が語っていることだけを、そのまま並べるね。
北米の業界団体NAWPCは、公式サイトで、北米には手入れの行き届いた広大な森林が広がっていて、木の電柱を将来にわたって十分に供給し続けられる、と説明しているよ。収穫された木はすべて植えかえられていて、毎日約170万本の木が植えられている、とも紹介されているんだ。木の電柱をつくる側の団体の説明である、という点はいっしょに覚えておいてね。
日本のコンクリート柱には、火事の記憶が関わっている場所もあるよ。函館に立つ日本最古のコンクリート電柱(1923年建造)について、地域の文化財を紹介するページでは、火災が頻繁に発生した当時の函館では耐火建築が増えはじめていて、この電柱もそのあらわれである、と説明されているんだ。木の柱から、燃えにくくて丈夫な柱へ——という移り変わりの物語は、「電柱の歴史」のページでも旅できるよ。
まとめると、国ごとの森林などの資源や、火事・災害の歴史、街のつくられかたのなかで、それぞれの柱が選ばれてきたと考えられているよ。どちらの柱が正解、という話ではないんだ。
よくある質問
アメリカの電柱はなぜ木が多いの?
北米の業界団体・北米木材電柱協議会(NAWPC)の公式サイトでは、北米には手入れされた広大な森林があり、木の電柱を将来にわたって十分に供給できると説明されているよ。きびしい基準を満たした木を防腐剤で加圧処理して長く使うしくみも紹介されているんだ。木の電柱をつくる側の団体の説明として読んでね。
日本の電柱はなぜコンクリートなの?
関西電力送配電の公開ページでは、街でよく見かける電柱はコンクリート柱と紹介されていて、ほかに木柱や組立鋼管柱もあり、建てる場所に合わせて選ばれていると説明されているよ。日本も昔は木の柱が普通だったと伝わっていて、火事の多かった函館では1923年に、燃えない材料の柱として日本最古のコンクリート電柱が建てられた、という記録も残っているんだ。
世界に電柱は何本あるの?
世界全体の本数をまとめた公的な数字は、この記事を書いた時点では確認できていないんだ。紹介できるのは、日本には約3,600万本の電柱が存在するとされること(国土交通省・2022年)と、北米では約1億5,000万本の木の電柱が使われていると推定されること(北米木材電柱協議会)、この2つの数字だよ。
木の電柱はどれくらい長持ちするの?
北米木材電柱協議会(NAWPC)の公式サイトでは、きちんと維持管理された木の電柱の設備は70年以上使えるとされているよ。点検のときに、腐るのを止める防腐処理を現地で施すこともある、と紹介されているんだ。
あわせて読みたい
参考にした公開情報
- 関西電力送配電「おくりんの電気教室(配電について)」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 国土交通省 報道発表「電柱の増加要因を踏まえた新設電柱の抑制に向けた対応方策について」(2022年)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 国土交通省「無電柱化の整備状況(国内、海外)」(外部リンク・新しいタブで開きます)
- North American Wood Pole Council(北米木材電柱協議会)「FAQs – Wood Utility Poles」(英語)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 台湾電力(Taiwan Power Company)「Taipower Business Overview」(英語)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 台湾電力(Taiwan Power Company)Smart Grid「Monitoring & Control」(英語)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- KEPCO(韓国電力公社)「Transmission and Distribution Overview」(英語)(外部リンク・新しいタブで開きます)
- 南北海道の文化財「日本最古のコンクリート電柱」(外部リンク・新しいタブで開きます)