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瞬時電圧低下(瞬低)と瞬停とは? — 一瞬だけ停電してすぐ戻る理由と、ブレーカーが落ちていないときの見方

別名: 瞬時電圧低下・瞬低・瞬時停電・瞬電・一瞬停電・一瞬だけ停電・電気が一瞬消える・ブレーカーが落ちてないのに一瞬停電

最終更新: 2026-09-23/公開情報をもとに作成しています

一瞬だけ電気が消えて、すぐ戻った。まわりの家も同時に消えていたなら、家の故障ではまずありません。送配電会社の公開解説にあるのは2つで、電圧がごく短い時間だけ下がる「瞬時電圧低下(瞬低)」か、いったん停電したあと変電所のスイッチが自動で入り直して送電が再開されたケース(このページで「瞬停」と呼びます)かのどちらかです。関西電力送配電は瞬時電圧低下を、落雷や鳥獣・樹木接触などがあった送電線を切り離すまでのごく短い時間(0.07秒〜2秒間)、その箇所を中心とした広い範囲で電圧が瞬間的に下がる現象と説明しています。

ブレーカーが落ちていないのも、当然の結果です。瞬時電圧低下は電圧が下がるだけで停電ではないためブレーカーは動作せず、瞬停のほうも家の外側で起きるため、自宅のブレーカーは落ちません。自宅側で操作することはありません。

このページでは、瞬時電圧低下の公式の定義、瞬停・瞬電・一瞬停電といった呼び名の整理、ブレーカーが落ちていないのにすぐ戻ったときに見るところ、一瞬だけ消える原因の4分類、台風と雷の季節との関係を、送配電会社と気象庁の公開情報から整理します。家の中の電気設備の点検や操作は、このサイトでは扱いません。パソコンやWi-Fiルーターなど機器側の扱いは、停電とWi-Fi・ルーターの記事にまとめています。

瞬時電圧低下(瞬低)とは? — 公式の定義と、瞬停・瞬電との違い

まず公式の定義から。関西電力送配電は「瞬時電圧低下」を、送電線等に落雷や鳥獣・樹木接触などがあった場合、その送電線を電力系統から切り離す際、切り離すまでのごく短い時間(0.07秒〜2秒間)、落雷等があった箇所を中心とした広い範囲で電圧が瞬間的に下がってしまう現象、と説明しています。東京電力パワーグリッドはもっと短く、瞬時電圧低下とは瞬間的に電圧が低下する事象を言う、と書いています。九州電力送配電の解説では、この時間は大半が0.05〜0.2秒、最長で2秒程度。電圧がゼロになるわけではないので停電ではなく、家のブレーカーも動作しません。略して「瞬低(しゅんてい)」と呼ばれます。

もうひとつが、実際にいったん停電して自動で戻るケースです。関西電力送配電の「復旧のしくみ・復旧の流れ」では、木の枝が配電線に一時的に触れたような場合、変電所内のスイッチが自動的に切れて全区間が停電し、停電発生から1分後に自動的にスイッチが入って送電が再開されるとされています。中国電力ネットワークの「停電になったら」では、設備故障で変電所の遮断器が切れたあと、約30秒後に自動的に「入」となる流れが示されています。公開解説に出てくる再送電までの時間は、このように会社によって異なります。

このしくみは「再閉路」と呼ばれます。公益社団法人 日本電気技術者協会の解説では、再閉路は再投入までの時間で区分され、無電圧の時間が1分程度のものを低速度再閉路と呼び、これが主として配電線の再閉路に適用され、配電用変電所の引出し口遮断器で行われると説明されています。電気事業事典をもとにしたパワーアカデミーの用語集も、自動再閉路装置を、事故で遮断された線路に一定の無電圧時間をおいて自動的に遮断器を再投入する装置とし、高速(1秒程度以下)・中速(1〜15秒)・低速(1分程度)に区分しています。「消えたと思ったら、数十秒から1分ほどで戻った」は、この低速度の再閉路が働いた形です。

「瞬停」「瞬時停電」「瞬電」「一瞬停電」「一瞬だけ停電」——一瞬消えた体験には、いろいろな呼び名が使われます。ただし、このページで参照した送配電会社の公開解説に出てくるのは「瞬時電圧低下(瞬低)」と、変電所のスイッチが自動で入り直す復旧のしくみの2つだけで、「瞬停」「瞬電」という語は出てきません。呼び名はどれも同じ体験を指していますが、中身は別の2つの現象に分かれる、というのがこのページの整理です。公式の説明を探すときは、「瞬時電圧低下」の語で検索してください。

見分けの目安はこうです。照明がちらついてパソコンだけ落ちた(家じゅうは消えていない)なら、瞬時電圧低下で説明がつきます。家じゅうがいったん消えて、数十秒から1分ほど(関西電力送配電の例では1分、中国電力ネットワークの例では約30秒)で戻ったなら、再閉路が働いた瞬停のほう。どちらか判断がつかなくても、まわりも同時に消えて一回きりなら、送る側のしくみが働いた結果という結論は同じです。

なお、家庭に「いまのは瞬時電圧低下でした」と知らせが届くことはありません。東京電力パワーグリッドの瞬時電圧低下履歴検索の案内には、瞬時電圧低下をお知らせする対象は66kV以上の特別高圧のお客さまのみ、と書かれています。同じ案内には、停電が5分以内に復旧した場合など、停電の状況によっては停電情報の全部あるいは一部を提供できないことがある、とも書かれています。一瞬の出来事が停電情報に載らないのは、そういう理由です。

一瞬消えたの2種類。左は瞬時電圧低下(瞬低)で電圧が0.07〜2秒だけ下がりブレーカーは動かない。右はいったん停電して自動で戻るケース(瞬停)でスイッチが自動で切れ、数十秒〜1分ほど(会社により異なる)の停電のあと自動で復旧する
「一瞬消えた」の正体は大きく2種類。瞬低と瞬停は別の現象(イメージ図)出典: 電柱図鑑オリジナル図解(公開情報をもとに作成)

公式の説明を探すときは、「瞬停」「瞬電」ではなく「瞬時電圧低下」の語で検索すると、送配電会社の解説が早く見つかります。いったん停電して自動で戻るしくみのほうは、関西電力送配電の「復旧のしくみ・復旧の流れ」や中国電力ネットワークの「停電になったら」のように、各社の復旧の説明ページに出てきます。

台風と停電 — なぜ起きる?復旧はどう進む? →

ブレーカーが落ちていないのにすぐ戻った — 最初に見るのは「まわり」

「ブレーカーは落ちていないのに、一瞬だけ電気が消えて、すぐ戻った」。これは家の外側で起きたことのサインです。瞬時電圧低下は停電ではなく電圧が下がる現象なのでブレーカーは動作せず、再閉路による瞬停も変電所側で起きるため、自宅のブレーカーは落ちません。この現象では、ブレーカーが落ちていないほうが自然な状態だということです。

各社の案内も、分電盤より先に外を見る順番になっています。東京電力パワーグリッドの「急に電気が消えたとき」は、まずは落ち着いて近隣の状況を確認してください、と始まり、そのうえでアンペアブレーカー・漏電ブレーカー・配線用ブレーカーのつまみがどちらの状態かを順に見ていく流れです。中国電力ネットワークの「停電になったら」も、地域が停電していない場合に分電盤を確かめる案内になっています。九州電力送配電の「電気がつかないときは」も、近所も停電しているなら送配電側の設備の故障、と最初に切り分けています。当サイトは電柱と配電設備の図鑑のため、屋内の点検や操作の手順そのものは扱いません。分電盤の具体的な見方は、各社のページをご覧ください。

ひとつだけ、安全のために各社が共通して促している注意があります。東京電力パワーグリッドは、ブレーカーから焦げくさい臭いがする、変な音がする、一部が溶けている、アンペアブレーカーの取り付け有無が分からない、といった場合には操作を行わず、すみやかに同社まで連絡するよう案内しています。夜間や踏み台を使う場合は、つまづきや転倒にも十分気をつけるように、とも添えられています。

  • ① まわりも同時に消えて、一回きりですぐ戻った: 瞬時電圧低下か、再閉路による瞬停が働いたケースです。その後ふだんどおりなら、送る側の自動のしくみで復旧が済んだ形で、自宅ですることはありません。ただし、電線の垂れ下がりや電柱からの火花・音に気づいたら、近づかず触らず、エリアの送配電会社の設備窓口か119へ(くわしくは「どこに連絡する?」へ)。
  • ② 停電が続く・何度も繰り返す: エリアで停電やトラブルが起きている可能性があります。お住まいのエリアの送配電会社の停電情報ページで状況を確認してください。ただし、中国電力ネットワークのFAQでは、照明の瞬間的なちらつき(電圧低下)や、停電時間がおよそ5分以内の停電は停電情報ページに掲載していないとされています。東京電力パワーグリッドの案内にも、停電が5分以内に復旧した場合などは情報の全部あるいは一部を提供できないことがある、と書かれています。載っていなくても繰り返すなら、そのエリアの送配電会社の窓口へ相談を。ページの探し方と掲載のルールは「停電情報の調べ方」にまとめています。
  • ③ 自分の家だけ・特定の部屋だけ: 近所は点いているのに自分の家だけ、という場合、東京電力パワーグリッドの「急に電気が消えたとき」も、中国電力ネットワークの「停電になったら」も、九州電力送配電の「電気がつかないときは」も、屋内側(分電盤)の確認で解決しないときに送配電側へ連絡する流れで案内しています。屋内の確認・操作の手順はこのサイトでは扱わないため、各社のページをご覧ください。切れた引込線など家の外側に異常が見えるときは、近づかず、送配電会社の設備窓口へ。屋内の配線が原因と分かった場合は電気工事店へ。

「うちだけ消えて、10秒ほどで戻った」は、この記事の瞬停とは別物です。契約アンペアを超えたときにスマートメーターが自動で復帰するしくみで、東北電力ネットワークの案内では、電気が消えてから10秒程度で自動的に再通電するとされています。くわしくは「停電なのにブレーカーが落ちてない?」とスマートメーターの記事へ。この記事が扱うのは、まわりごと一瞬消える現象です。なお、パソコン・Wi-Fiルーター・冷蔵庫など機器の側が気になるときは、「停電するとWi-Fiはどうなる?」に再起動の順番をまとめています。

停電なのにブレーカーが落ちてない? — 「家の外側」で起きていることの見分けかた →停電するとWi-Fiはどうなる? — ルーターの再起動の順番 →停電情報の調べ方 — 全国の停電情報ページまとめ →スマートメーターとは?(ミライ) →

一瞬だけ消える原因は4つ — 再閉路・落雷・鳥獣や樹木の接触・工事

一瞬消えた原因は、公開されている解説をたどると、大きく4つに分けられます。最初のひとつは厳密には原因ではなく、消えたあとに自動で戻すしくみのほうです。

  • ① 再閉路(配電線の自動復旧): 事故で遮断された配電線を、一定の無電圧時間をおいて自動的に入れ直すしくみです。日本電気技術者協会の解説では、無電圧時間が1分程度の低速度再閉路が主として配電線に適用されるとされ、関西電力送配電の例では停電発生から1分後、中国電力ネットワークの例では約30秒後に自動的に送電が再開されます。原因が通り過ぎていればそのまま全区間が復旧し、残っていればその区間だけが切り離されます。復旧がどの順で進むかは「停電の復旧時間はどれくらい?」へ。
  • ② 落雷: 送電線への落雷は瞬時電圧低下を引き起こし、電柱や鉄塔への落雷は停電につながることがあります。九州電力送配電によると、落雷を受ける送電線が高電圧の系統になるほど影響は広範囲になり、鹿児島の落雷が福岡まで影響を及ぼすこともあります。電柱の上で何が起きているのか、落ちても停電しないのはなぜかは「雷が電柱に落ちたらどうなる?」と「雷で停電するのはなぜ?」へ。
  • ③ 鳥獣・樹木の接触: 関西電力送配電は、瞬時電圧低下が起きる場面として落雷と並べて鳥獣接触・樹木接触を挙げています。復旧のしくみの解説で例に使われているのも、木の枝が配電線に一時的に触れたケースです。同社の「停電の原因」では、樹木や鳥獣の接触の多発時期は春・夏とされています。枝が電線にかかっているときの連絡先は「電線に木の枝がかかっている」へ。
  • ④ 工事・切替: 設備の工事に伴って停電することもあります。ただし関西電力送配電の「工事に伴う停電について」では、停電を伴う工事を行う際には事前にビラなどにより停電日時をお知らせするとともに、可能な限り短時間で終了するよう努めていると案内されています。予告なくいきなり一瞬消えたのなら工事ではない可能性が高い、という見分けかたになります。電柱の工事そのものは「電柱の建て替え工事」へ。

原因は自然現象だけではありません。中部電力パワーグリッドは2026年5月29日、隣接エリアの設備不具合の波及によって、同社の供給エリア(愛知県、岐阜県と三重県の一部を除く地域、静岡県の富士川以西、長野県)の一部地域で瞬時電圧低下が起きたと公表しています。また、点いたり消えたりを繰り返す場面については、中国電力ネットワークのFAQに、停電区域に再び電気を送りながら故障箇所を特定しているため、電気が点いたり消えたりすることがある、と書かれています。故障箇所を探している最中に起きる現象として説明されているわけです。

停電の復旧時間はどれくらい? — 復旧の順番と「うちだけ遅い」理由 →雷が電柱に落ちたらどうなる? — 停電する時としない時の違い →雷で停電するのはなぜ? — 直撃雷と誘導雷、電柱の上で起きていること →電線に木の枝がかかっている — どこに連絡する? →電柱の建て替え工事 — 何をしている?停電するの? →

瞬停・瞬低はいつ起きやすい? — 台風と雷の季節、9月の位置

起きやすい条件は、台風と雷の季節に重なります。まず台風。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、台風の接近数は8月3.3個・9月3.3個で年間の山、上陸数は9月の1.0個が年間でもっとも多くなっています(年間の上陸数は3.0個)。強風で物が飛び、木の枝が揺れて電線に触れる場面が増えれば、自動で切れて戻るしくみが働く場面も増えます。

もうひとつは雷です。関西電力送配電の「停電の原因」では、原因ごとに多発時期が示されています。雷は夏、風や雨の影響は夏・秋、樹木や鳥獣の接触は春・夏、雪は冬。気象庁の季節区分(夏は6〜8月、秋は9〜11月)で見ると、9月は「夏の雷」の多発時期が終わった直後で、「秋の風雨」の多発時期に入った月にあたります。

雷は夏だけではありません。気象庁の統計では、年間の雷日数は東北から北陸にかけての日本海沿岸の観測点で多く、金沢の45.1日(目視観測時代の参考値)が最多です。宇都宮のような内陸部では夏に多く、金沢のような日本海側では冬に多い。雷の季節は、地域で違います。

ただし、ここで書けるのは「起きやすい条件がいつ重なるか」までです。送配電会社が瞬停や瞬低の件数を月別に公表した統計は確認できていないため、このページでは「9月がいちばん多い」とは書きません(東京電力パワーグリッドには瞬時電圧低下の発生履歴を日付で検索するページがありますが、月別の集計値ではありません)。

上段は気象庁平年値の台風の月別接近数と上陸数の棒グラフで8〜9月が山。下段は関西電力送配電が示す停電原因の多発時期を1〜12月の帯で並べ、8〜9月に雷と風雨の帯が隣り合う
台風の月別平年値(気象庁)と停電原因の多発時期(関西電力送配電)を1枚に重ねた図出典: 電柱図鑑オリジナル図解(公開情報をもとに作成)

図の下段で季節と月を対応させた割り当ては、気象庁の季節区分(春3〜5月・夏6〜8月・秋9〜11月・冬12〜2月)に合わせた作図上のものです。

9月はなぜ防災月間? — 電気が止まりやすい月の備え →「着雪注意報」が出たら電線で何が起きている? →

家の中で何が起きる? — 照明・パソコン・タイマー

瞬時電圧低下は、家の中では「蛍光灯がちらつく」「電気製品が止まる」という形で現れると、関西電力送配電の解説にあります。九州電力送配電はもう少し具体的です。無停電電源装置のないコンピューターが自動的に止まったり誤った動作をしたりする。マグネットスイッチ式のモーターを使う空調機器やポンプが止まる。高圧放電ランプはいったん消えると再点灯まで時間がかかる。北陸電力も、対策が必要な機器の例として電磁開閉器やパソコンなどを挙げています。

テレビは点いたままなのにパソコンだけ落ちた、という体験はここから説明がつきます。電気事業事典をもとにしたパワーアカデミーの用語集では、コンピューターのような高感度の電子機器は、電圧が20〜50%下がり、その継続時間が数ミリ秒〜数十ミリ秒(1秒の千分の一の単位)であっても停止することがあるとされています。機器によっては、その一瞬が電源が切れたのと同じ扱いになるわけです。

瞬停のケースでは、機器はいったん電源が切れて、戻ったときに再起動した形です。東北電力ネットワークの案内では、炊飯器やテレビの予約録画などタイマー機能を使う電化製品や、電気温水器のリモコンの時刻設定は、時刻がずれたり予約設定がクリアされたりする場合があるため、停電解消後に設定を確認するよう呼びかけています。関西電力送配電も、工事に伴う停電の案内のなかで同じ注意を挙げ、エコキュートや電気温水器は機種により時間設定がクリアされる場合があるので復電後に時間設定を確認するように、と案内しています。「朝、炊飯器の予約が消えていた」の原因が、夜中の短い停電だったこともあり得ます。

Wi-Fiルーターやパソコンなど、機器そのものの扱いは「停電するとWi-Fiはどうなる?」にまとめています。電気が戻ったあとの再起動の順番や、つながらないときに見るところは、そちらへ。なお中国電力ネットワークのFAQは、落雷などによる短時間の停電や瞬時の電圧低下でデータの消滅や誤動作、機器の故障となる場合があると書いています。

では、瞬停や瞬低で家電は壊れるのか。中国電力ネットワークのFAQは「機器の故障となる場合がある」としていますが、どの機器がどう壊れるかまでは示されていません。公式の解説で具体的に挙がっているのは、誤動作・停止・データ消失・タイマー設定のずれまで。故障するかどうかは機器次第としか言えないため、このページでも断定はしません。落雷そのものの電気が電線を伝って機器に入る雷サージの話は、雷と停電の記事で扱っています。

停電するとWi-Fiはどうなる? — ルーターの再起動の順番 →雷で停電するのはなぜ? — 直撃雷と誘導雷、電柱の上で起きていること →電気が戻る瞬間に火が出る? — 通電火災のしくみと、いまできる備え →

どこに連絡する?

まわりも同時に消えて一回きりですぐ戻り、その後ふだんどおりなら、前の章の①のとおり、送る側の自動のしくみで復旧が済んだ形です。気になるときは、エリアの送配電会社の停電情報ページで状況を確かめてください。例外は2つ。電線が垂れ下がっている、電柱から火花や音が出ている。こういう場面を見つけたら、近づかず、触らず、エリアの送配電会社の設備窓口か119へ。

停電が続く、あるいは何度も繰り返すときの連絡先は、電気を買っている小売電力会社ではなく、電柱と電線を管理している送配電会社です。2026年9月時点の公開情報では、中国電力ネットワークは「停電になったら」のページで、解決しないときは同社へ問い合わせるよう案内し、九州電力送配電は最寄りの配電事業所への連絡を案内しています。東京電力パワーグリッドの「急に電気が消えたとき」も、停電情報に住所の掲載がない場合は同社へ連絡するよう案内しています。各社の窓口は、停電情報の調べ方の記事から公式ページをたどれます。

連絡のときに、近くの電柱の番号札の内容を伝えると、場所の特定が早くなります。番号札の見方は、電柱番号の調べ方にまとめました。

電柱番号の調べ方 — 番号札の見方と検索サービスまとめ →停電情報の調べ方 — 全国の停電情報ページまとめ →垂れ下がった電線(図鑑) →

瞬停・瞬低は防げる? — 送る側の対策と、電柱の上の設備

送る側は、技術的・経済的に可能な対策を重ねています。それでも関西電力送配電は、雷や風雨などの自然現象による停電や瞬時電圧低下の発生を完全になくすことはできないと書き、東北電力ネットワークも、架空地線や避雷器などの対策をしても、電力会社側の設備で瞬時電圧低下を完全に防ぐことは困難だと案内しています。北陸電力の解説も同じ立場で、瞬低は故障を切り離すまでに発生する現象であり、電力流通設備側の対策では完全には防止できない、という説明です。九州電力送配電も、現在の技術では自然現象である落雷の影響を完全に防止することは不可能と言える、と書いています。

家庭でできることは、「影響を小さくする」方向です。作業中のデータはこまめに保存しておく。停電が解消したあとは、東北電力ネットワークや関西電力送配電の案内にあるとおり、炊飯器や予約録画のタイマー、電気温水器の時刻設定をひと通り見直す。場所を先に知っておけば、朝になって慌てずに済みます。雷が近づいているかどうかを見るなら、気象庁の雷ナウキャスト。台風の前の備えは、台風と停電の記事にまとめています。

切り離す場所は、変電所や送電線だけではありません。その働きを担う設備は、ふだん何気なく見上げている電柱の上にもあります。電気の通り道を区間ごとに区切る柱上開閉器、雷の余分な電気を大地へ逃がす避雷器、電気を漏らさないように電線を支えるがいし、鳥と設備の距離を保つ鳥害対策器具。鉄塔のあいだを渡る送電線の話も図鑑にあります。関西電力送配電の解説にあるとおり、停電の原因区間を自動的に検出し、原因区間以外へ短時間で自動的に電気を送るしくみ(配電自動化システム)が用意されていて、瞬低も瞬停も、その工夫が家の中から見えた瞬間です。

しくみを遊びながら知りたい方は、配電推理ゲーム「停電レスキュー」もどうぞ。停電した区間を切り分けて、健全な区間から順に復旧させる流れを体験できます。

家庭側で瞬低や瞬停に備えるための機器もありますが、このサイトでは商品の紹介や比較は行いません。

柱上開閉器(図鑑) →避雷器(図鑑) →がいし(図鑑) →鳥害対策器具(図鑑) →送電線(図鑑) →停電レスキュー — 配電推理ゲームで復旧のしくみを体験 →

よくある質問

瞬時電圧低下と停電は何が違うのですか?

電気の供給が止まったかどうかが違います。関西電力送配電は瞬時電圧低下を、送電線等に落雷や鳥獣・樹木接触などがあった場合、その送電線を電力系統から切り離すまでのごく短い時間(0.07秒〜2秒間)、広い範囲で電圧が瞬間的に下がってしまう現象と説明しています。東京電力パワーグリッドの案内でも、瞬時電圧低下とは瞬間的に電圧が低下する事象、とされています。電圧はゼロになるわけではないので停電ではなく、家のブレーカーも動作しません。一方、いったん電気が止まって自動で戻るケースは実際の停電で、関西電力送配電の例では停電発生から1分後、中国電力ネットワークの例では約30秒後に、変電所のスイッチが自動的に入って送電が再開されます。家の中ではどちらも「一瞬消えた」ように見えますが、別の現象です。

瞬電・一瞬停電・瞬時電圧低下は同じものですか?

「瞬電」「一瞬停電」「一瞬だけ停電」「瞬停」は、いずれも検索でよく使われる呼び名で、同じ体験を指しています。ただし、このページで参照した送配電会社の公開解説に出てくる語は「瞬時電圧低下(瞬低)」と、変電所のスイッチが自動で入り直す復旧のしくみの2つで、「瞬電」「瞬停」という語は出てきません。中身は、電圧が下がるだけで停電にはならない瞬時電圧低下と、いったん停電してから自動で戻るケースの2つに分かれます。公式の説明を探すときは「瞬時電圧低下」の語で検索すると、各社の解説が見つかります。

一瞬停電したあと、何かしたほうがいいですか?

まわりも同時に消えて一回きりで戻り、その後ふだんどおりなら、自宅ですることはありません。ただし各社は、停電のあとに時刻の確認を呼びかけています。東北電力ネットワークは、炊飯器やテレビの予約録画などタイマー機能を使う電化製品や電気温水器のリモコンの時刻設定が、ずれたりクリアされたりする場合があるとして、停電解消後に設定を確認するよう案内しています。関西電力送配電も、エコキュートや電気温水器は機種により時間設定がクリアされる場合があるので復電後に確認するように、と書いています。パソコンやWi-Fiルーターなど機器の扱いは、停電とWi-Fi・ルーターの記事へ。電線の垂れ下がりや電柱からの火花・音に気づいたときは、近づかず触らず、エリアの送配電会社の設備窓口か119へ連絡してください。

瞬停とは何ですか?瞬低とは違うのですか?

「瞬停」は検索でよく使われる呼び方で、「瞬時停電」を縮めた言い方、つまりごく短い時間の停電を指して使われます。このページで参照した送配電会社のページには、「瞬停」「瞬時停電」という語は出てきません。公式の解説にあるのは、雷などの影響で電圧がごく短い時間だけ下がる「瞬時電圧低下(瞬低)」(関西電力送配電の解説では0.07秒〜2秒間、九州電力送配電の解説では大半が0.05〜0.2秒で最長2秒程度。停電ではありません)と、木の枝の接触などで変電所のスイッチが自動的に切れ、短時間で自動的に送電を再開する復旧のしくみ(関西電力送配電の解説では停電発生から1分後、中国電力ネットワークの解説では約30秒後)の2つです。このページでは後者を「瞬停」と呼んでいます。両者は別の現象ですが、家の中ではどちらも「一瞬消えた」ように見える点は同じ。公式の解説は「瞬時電圧低下」の語で探すと見つかります。

一瞬だけ停電してすぐ戻るのはなぜですか?

近所も同時に消えてすぐ戻ったなら、故障ではなく電気を送る側のしくみによるものです。雷などの影響で電圧がごく短い時間だけ下がる「瞬時電圧低下」のほか、木の枝の一時的な接触などで変電所のスイッチが自動的に切れ、そのあと自動で送電を再開する復旧のしくみが、送配電会社の公開ページで解説されています。このしくみは再閉路と呼ばれ、公益社団法人 日本電気技術者協会の解説では、無電圧の時間が1分程度の低速度再閉路が主として配電線に適用されるとされています。再開までの時間は会社や設備によって異なり、関西電力送配電の解説では停電発生から1分後、中国電力ネットワークの解説では約30秒後です。一回きりで、その後ふだんどおりなら、送る側の自動のしくみで復旧が済んだ形です。停電が続く・繰り返すときは、エリアの送配電会社の停電情報ページを確認し、窓口へ相談を。電線の垂れ下がりや電柱からの火花・音に気づいたら、近づかず触らず、エリアの送配電会社の設備窓口か119へ連絡してください。

ブレーカーが落ちていないのに一瞬消えたのはなぜですか?

瞬時電圧低下は停電ではなく、電圧がごく短い時間だけ下がる現象のため、ブレーカーは動作しません。瞬停(変電所のスイッチが自動で切れて自動で戻る復旧のしくみ)も送る側で起きることなので、自宅のブレーカーは落ちません。この現象では、ブレーカーが落ちていないほうが自然な状態です。なお「うちだけ消えて10秒ほどで戻った」は、契約アンペアを超えたときのスマートメーターの自動復帰(東北電力ネットワークの案内では10秒程度で自動的に再通電)で、別物です。近所は点いているのに自宅だけ消えている場合は、東京電力パワーグリッドの「急に電気が消えたとき」、中国電力ネットワークの「停電になったら」、九州電力送配電の「電気がつかないときは」のいずれも、まず近隣の状況を確かめ、屋内側(分電盤)の確認で解決しないときに送配電側へ連絡する流れで案内しています。屋内の確認・操作の手順はこのサイトでは扱いません。

瞬停でパソコンやWi-Fiが落ちるのはなぜですか?

電気事業事典をもとにしたパワーアカデミーの用語集では、コンピューターのような高感度の電子機器は電圧が20〜50%下がり、それが数ミリ秒〜数十ミリ秒続くだけで停止することがあるとされています。九州電力送配電の解説も、無停電電源装置のないコンピューターの停止や誤動作を挙げています。テレビは点いたままなのにパソコンだけ落ちた、はこのためです。瞬停(短い停電)の場合は、電源が切れた機器が再起動した形になります。電気が戻ったあとの再起動の順番や、つながらないときに見るところは、停電とWi-Fi・ルーターの記事にまとめています。

瞬停で家電は壊れますか?

中国電力ネットワークのFAQは、落雷などによる短時間の停電や瞬時の電圧低下で、データの消滅や誤動作、機器の故障となる場合があるとしています。ただし、どの機器がどう壊れるかまでは示されていません。公式の解説で具体的に挙がっているのは、誤動作・停止・データ消失と、東北電力ネットワークや関西電力送配電が案内するタイマー設定や時刻のずれまで。故障するかどうかは機器次第としか言えないため、このページでは断定しません。

瞬停はいつ起きやすいですか?9月に多いのですか?

送配電会社が瞬停や瞬低の件数を月別に公表した統計は確認できていないため、9月が最多とは言えません(東京電力パワーグリッドの瞬時電圧低下履歴検索は日付ごとの発生履歴で、月別の集計値ではありません)。分かるのは、起きやすい条件の重なりまでです。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、台風の接近数は8〜9月が各3.3個で年間の山、上陸数は9月の1.0個が最多。関西電力送配電の「停電の原因」では、雷の多発時期が夏、風雨の多発時期が夏・秋、樹木や鳥獣の接触が春・夏とされています。なお気象庁の統計では、日本海側の地方では冬に雷が多くなります。

一瞬の停電が何度も繰り返されるときはどうすればいいですか?

まず、お住まいのエリアの送配電会社の停電情報ページで、停電やトラブルの情報が出ていないか確認してください。ただし、中国電力ネットワークのFAQでは、照明の瞬間的なちらつき(電圧低下)や、停電時間がおよそ5分以内の停電は停電情報ページに掲載していないとされています。東京電力パワーグリッドの案内にも、停電が5分以内に復旧した場合などは情報の全部あるいは一部を提供できないことがある、と書かれています。載っていなくても繰り返す場合は、小売電力会社ではなく、そのエリアの送配電会社の窓口に相談を。なお中国電力ネットワークのFAQには、停電区域に再び電気を送りながら故障箇所を特定しているため、電気が点いたり消えたりすることがある、とも書かれています。電線が垂れ下がっているのを見つけたら、近づかず、触らず、エリアの送配電会社の設備窓口か119へ連絡してください。

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